中谷美紀、玉木宏らが出演する連続テレビドラマ『あなたには帰る家がある』(TBS系)の第2話が20日に放送され、平均視聴率は8.1%(関東地区、テレビリサーチ調べ)で第1話から1.2ポイント下落した。
第1話は、中谷演じる主婦・佐藤真弓と玉木演じる住宅販売会社の営業マン・秀明(玉木)を通して、どこにでもありそうな夫婦の行き違いを描く一方、家の購入を計画している茄子田太郎(ユースケ・サンタマリア)・綾子(木村多江)夫妻に秀明が振り回されていく様子を描いた。
かねて妻に不満を抱いていた秀明は、綾子の思わせぶりな態度にグラッと来てしまい、ホテルで関係を持ってしまう。
ここまでが第1話で描かれた内容だったが、第2話でどこまで話が進展したかと言えば、実のところほとんど進んでいない。ストーリー展開上欠かせないのは、時間にしてラスト1分程度。秀明に届いたクレジットカードの明細書の中にホテルの宿泊費用が含まれているのを真弓が発見したシーンだ。
真弓も秀明の様子がおかしいのには薄々気付いており、多少は疑ったりしてみたものの、夫が少しは家庭を顧みるようになったのを受けて水に流そうと決めた矢先の出来事だった。ようやく第3話から修羅場が始まるというところだろうか。
第2話の視聴を終えて真っ先に頭に浮かんだのは、「視聴者にどう観てほしいんだろう」という疑問だった。浮気がバレるのを恐れて必要以上に挙動不審になったり、綾子からの呼び出しにウッキウキで出かけたら太郎が待っていて慌てふためいたりする秀明の姿はコメディーチックで笑いを誘うが、ではこのドラマがコメディーなのかといえば、そうでもないらしい。
たとえば、夫に抱かれた翌朝に1人台所で一心不乱に鍋の黒ずみをこすり続ける綾子の姿は、かなりホラーじみていた。鍋の汚れを、夫に汚されてしまった自分の心身に見立てているのか。第1話で「幸せです」と語ったのは、やはり嘘だったのだろうか。
また、書店の一角で目に涙をいっぱいためて「奥さんなんて呼ばないで、名前で呼んで」と必死に秀明に語り掛ける綾子も相当怖かった。関わってはいけない人レベルのヤバさをビンビン発している。となると、このドラマはサスペンスホラーなのか。そこそこ平和でそこそこ問題のある平凡な夫婦が、心に闇を抱えた夫婦にめちゃくちゃにされていくドラマなのだろうか。
厳密にどちらかでなければならないわけではないが、今のところ視聴者に主に笑ってほしいのか、それとも怖がってほしいのかがよくわからない。場面ごとにタッチが違う印象を受けるし、役者の演技プランもまちまちに見える。このため、全体として非常にちぐはぐな仕上がりになっているのだ。今からでも遅くないので、玉木演じる秀明のポンコツぶりを楽しむコメディーに重きを置くか、木村とユースケの怪演をひたすら楽しむサスペンスに重きを置くか、どちらかひとつに絞ってもよいのではないだろうか。
(文=吉川織部/ドラマウォッチャー)