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『花のち晴れ』、『花男』続編なのに脚本が放送事故レベルに矛盾だらけでドラマ理解不能

文=吉川織部/ドラマウォッチャー
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 杉咲花が主演を務める連続テレビドラマ『花のち晴れ~花男Next Season~』(TBS系)の第10話が19日に放送され、平均視聴率が5.2%(ビデオリサーチ調べ・関東地区)だったことがわかった。同時間帯にFIFAワールドカップの日本対コロンビア戦が放送されていた影響もあり、前回からは3.4ポイント下げた。

『花より男子』(花男)シリーズの続編という位置付けの同ドラマは、主人公の江戸川音(杉咲)が神楽木晴(King&Prince/平野紫耀)と馳天馬(中川大志)のどちらを選ぶかというだけのストーリー。音は親同士が決めた婚約者である天馬をずっと慕ってきたが、晴との出会いによって心が揺れている――と書けば王道の恋愛ドラマっぽいが、実際は毎回音が2人の間をふらふら行ったり来たりして双方を傷付ける展開を延々と繰り返すばかりであるため、中盤以降は視聴者の間で主人公である音や脚本への批判が高まっている。

 制作側もそうした雰囲気を察したのか、第10話では登場人物までこぞって音を批判し始めた。バイト先の先輩である紺野亜里沙(木南晴夏)は、「自分が傷つくのが怖いだけじゃん。どっちつかずで、そういうのが一番人を傷つけてるってわかんない?」と音をガチ説教。天馬の側近である近衛仁(嘉島陸)も、「馳さんはどんなことがあろうとも、揺らがずあなたを愛しているのに」と音に向かっていきり立つ。音と晴がくっ付くのを応援していた真矢愛莉(今田美桜)も、音の煮え切らない態度に少々キレ気味。愛莉は、メグリン(飯豊まりえ)といったん付き合っておきながら、結局、音をあきらめきれない晴に対しても「周りの人をみんな傷つけて、それが神楽木晴のすることなの?」とブチ切れた。

 自分の気持ちに従った行動をしないせいで、周囲の人々を振り回している音や晴がガッツリ怒られたことで少しだけスカッとしたが、それと同時にモヤモヤ感が募った。脚本のダメなポイントを登場人物に指摘させることで、視聴者の批判をそらそうとする作り手側の意図が透けて見えるからだ。

 主要な登場人物が高校生の設定であることを考えれば、自分でもどうしたいかわからなかったり、気持ちがふらついたりすること自体は別におかしくない。だが、このドラマは主人公の音を筆頭に、あまりにも他人の感情を考えずに自己中心的に行動する人物が多く、何かを言った数分後にそれと矛盾する行動をとるなど、記憶喪失になったのではないかと思うほど言動が破綻しているケースも多い。このため、最近では「登場人物がクズばかり」と視聴者に批判されているような状況だ。

 だが、視聴者の気持ちを代弁するような台詞を急に登場人物たちに言わせたところで、脚本のダメさが解消されるわけではない。むしろ、これまでは何があっても音を応援していた人たちが、手のひらを返したように音を批判し始める展開には違和感を覚えた。また、音の感情の変化はもはや理解不能なレベルに達しており、「神楽木が好き」と紺野に告白したすぐ後に「天馬くんで胸をいっぱいにしたい」といけしゃあしゃあと本人に話した。

 さらに音を賭けて晴と天馬が決闘することになると、「天馬君を応援する」と言ったかと思えば「なぜ神楽木が負けると最初から決めつけてるの?」と愛莉たちにキレたり、わけがわからない。メグリンには「どっちかを応援なんてホントはしたくない。こんな戦いやめてほしい」と悲劇のヒロインぶって話していたのに、いざ試合が始まって天馬が晴を瞬殺したら、満面の笑みで喜んでいた。

 本気で意味がわからないし、実際にこんな人物がいたら誰も関わり合いになりたくないのではないか。「ほんっとしょうもない」と他人に言うのが音の口癖だが、どう考えてもこのドラマで一番“しょうもない”のは主人公の音である。

 こんなドラマの主演を引き受けてしまった杉咲花も気の毒だ。心なしか、杉咲の演技もどんどん投げやりになっているように見える。これだけ場面場面でコロコロと言動が変わっては、役づくりも何もあったものではないのではないか。

 ようやく次週で最終回を迎えるが、すでに音はどんなラストを迎えても非難される存在になってしまっている。天馬とくっついても、晴への気持ちを押し殺しているのがありありだし、かと言って晴とくっつけば、「あれだけ良くしてくれた天馬を振り回した揚げ句に周囲のみんなを不幸にしてそれでいいのか」と視聴者から叩かれそうだ。視聴者の間では、結局誰も誰ともくっつかないという「しょうもない」ラストになるのではとの予想もあるが、制作陣は果たしてどうオチを付けるつもりなのだろうか。
(文=吉川織部/ドラマウォッチャー)

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