ビジネスジャーナル > エンタメニュース > 『絶対零度』ダメ月9に逆戻り
NEW

『絶対零度』前クール大好評『コンフィデンスマン』から「ダメな月9」に逆戻り!

文=吉川織部/ドラマウォッチャー
【この記事のキーワード】, , , ,

 連続テレビドラマ『絶対零度 未然犯罪潜入捜査』(フジテレビ系)の第1話が9日に放送され、平均視聴率が10.6%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)だったことがわかった。

 元公安のエリート・井沢範人(沢村一樹)率いる「未然犯罪捜査班」の活躍を描く物語。彼らは、警察が極秘に開発した「未然犯罪捜査システム(ミハンシステム)」の実用化に向けたテストを行うために集められ、表向きは資料課の業務を行いながら非合法な捜査を行っていく。このシステムは、国民の個人情報を含むあらゆるビッグデータを収集して過去の犯罪データと照らし合わせ、近い将来に重大犯罪を犯しそうな危険人物を割り出す、というものだ。

 主なキャストとしては、課内唯一の女性警察官・小田切唯役で本田翼、資料課の本来の職員・南彦太郎役で柄本時生、さまざまな部署をたらい回しにされてきたベテラン警官・田村薫役で平田満、ミハンシステムを推進する特別捜査官・東堂定春役で伊藤淳史が出演している。

 第1話は、警視庁のトラブルメーカーばかりが集められた資料課分室に山内徹(横山裕)が異動になり、ミハンシステムやチームの任務に疑いを抱いたり反発したりしながらも、最終的にはメンバーと協力して事件を解決する、という内容だった。

 率直なところ、「AI(人工知能)が犯罪を事前に予測する」という設定がうまく生かされているとはいえず、無理にこんな設定を入れないほうがよかったのではないかと感じた。また、物語のバリエーションのひとつとしては今回の「AIが割り出した危険人物がすでに殺されていた」というパターンもありだとは思うが、第1話からやるべきではないだろう。なぜなら、いきなり設定を覆しているようなものだからだ。まずはAIが正確だという話を何話か続けて、それから「AIが間違っていた」「AIが暴走した」といったストーリーを放送するのが王道というものだ。

 武井壮が第1話のゲストであると予告しておきながら、実際にはすでに殺されていた役だったためにほとんど出演せず、本編のほとんどが名前のよくわからない役者たちとミハンチームとの対決になったのもよくなかった。また、犯罪自体も悪人同士の仲間割れでしかなかったため、解決しても何のカタルシスも生まれなかった。総合的に見て、おもしろくなりそうな題材を自らぶち壊しにいったような脚本だったと評価せざるを得ない。

 ここ数年、視聴率低迷が続くフジの月9だが、同枠で4月~6月のクールに放送された『コンフィデンスマンJP』はインターネット上で好評を博し、復活ののろしを上げたと思われていただけに、期待を裏切られた感がある。

 とはいえ、ミハンチームの面々たちは個性派ぞろいで楽しい。沢村演じる井沢は、いつも適当を絵に描いたような軽い人間として振る舞うが、その裏には底知れぬ闇を抱えていることがうかがい知れる。演技が下手だと酷評されることの多い本田も、ギャルっぽい言動の役柄なので無理なく演じているようで、安心して見ていられる。やたらと強く、悪人たちをバッタバッタとなぎ倒していく設定も、格闘自体にさしたる見どころはないが、単純にスカッとしておもしろい。一見冴えないが実はマルチな技能を持つ警官役でベテランバイプレーヤーの平田を起用したのも、いいキャスティングだと思う。

 一方で横山は、いまひとつチームとかみ合っていない印象を受けたが、そういうストーリー上の演出かもしれないので、もう少し見守りたい。回が進めば、チーム内での役割もはっきりしてくるのではないだろうか。

 第1話は、前シリーズの主人公・桜木泉(上戸彩)がベトナムで焼死体となって発見されたという衝撃のシーンでラストを迎えた。「前作から7年たって成長した桜木泉が物語全体の謎のカギを握る存在として登場する」とドラマ公式サイトなどで予告されていただけに、ほとんど登場せずにいきなり第1話で死ぬ展開には驚かされた。上戸を目当てに見た人は、だまされたと感じたかもしれない。本当は死んでいないのか、それとも本当に死んでいて、その真相を追求する展開になるのかはまだわからないが、ここをうまく描けるかどうかが視聴者をつなぎ止めるカギになりそうだ。
(文=吉川織部/ドラマウォッチャー)

『絶対零度』前クール大好評『コンフィデンスマン』から「ダメな月9」に逆戻り!のページです。ビジネスジャーナルは、エンタメ、, , , , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!