連続テレビドラマ『この世界の片隅に』(TBS系)の第5話が12日に放送され、平均視聴率は前回から0.3ポイントダウンの8.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)だった。
第5話では、北條すず(松本穂香)の幼馴染である水原哲(村上虹郎)が、入湯上陸中に嫁ぎ先まで訪ねてきた。そして、お米やら果物の缶詰を渡し「今晩やっかいになってもいいですか」というので、水兵さんをむげにもできず一晩だけ泊まらせることに。しかし、この水原の存在が、すずと夫・北條周作(松坂桃李)の間に溝をつくってしまうことになる。
そんな水原は「死に遅れるっていうんは焦れるもんですの。しやけど、いよいよ次が最後かの」と死を覚悟していることを周作に話す。だが周作は「ここに泊めるわけにはいかん」と言い、水原には納屋に泊まってもらうことに。そして、「ゆっくり昔話でもしておいで」「もう(水原に)会えんけんかもしれんけんお」とすずを納屋に行かせると、鍵をしてしまった。
そこで水原は、納屋に来たすずを隣に座らせ頬を寄せるのだが、「あの人(周作)に腹が立って仕方がない」というすずの言葉を聞いて、今は周作のことが好きなんだと思いとどまる。そして「一日くらい、今日ぐらい甘えとうなった……許せ」「普通じゃのう、すずは。すずは普通で嬉しいわ、安心した。ず~とこの世界で普通で、まともでおってくれ。わしが死んでもな」「わしが死んでも、笑うてわしを思い出してくれ。それができんようなら忘れてくれ」と笑顔ですずに告げると、早朝に「じゃあの」と言い残して出発してしまったのだった。
これらのシーンに「水原さんとすずとの納屋でのシーンが、とても官能的なのに全くイヤラしくないのは、水原さんがすずを本当に愛してるのが分かるからなのだと思った。自らを奮い立たせ言葉を絞り話す水原さん。今回は神回でした」「最後だからすずさんを水原さんのもとへ行かせた周作さん。何度見ても辛いな」「すずも水原も周作も全員切なすぎて泣ける」と、それぞれの思いに寄せて心情的になる人が多かったようだ。
それからしばらくして、出征していたすずの兄・浦野要一(大内田悠平)が遺骨となって帰ってくる。だが、その中身は小さな石ころひとつが入っているだけだった。これに「ね? 死んどらんのよ、あの子は」と言う母親のキセノ(仙道敦子)。しかし、周作に「お兄さまの部隊が全滅し、全員玉砕したということだけわかってる場合……」と言葉に詰まった説明を聞くと、泣き崩れてしまうキセノ。
ここでは「母親の子を思う気持ち」や「戦時中のやりきれなさ」に心を痛め涙する人も多かったようだ。ただ、原作などではもう少し軽いシーンだったようで、「変に改変しないほうがよかった」という意見と「ドラマ版もよかった」という意見で分かれていたようだった。