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フジ月9『SUITS』視聴率が急落…弁護士ドラマにあるまじき致命的な間違い、誤解与える恐れ

文=吉川織部/ドラマウォッチャー
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 織田裕二が主演を務める連続テレビドラマ『SUITS/スーツ』(フジテレビ系)の第2話が15日に放送され、平均視聴率は前回から3.1ポイント減の11.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)だったことがわかった。同作は、アメリカで大ヒットした『SUITS』を原作とした弁護士ドラマ。勝つためには手段を選ばない傲慢な敏腕弁護士・甲斐正午(織田)と、驚異的な記憶力を持つが弁護士資格を持たない鈴木大貴/大輔(中島裕翔)がバディを組み、数々の難しい訴訟を解決していく様を描く。

 第2話は、セクハラがテーマ。勤めていた病院の院長から愛人にならないかと誘われ、それを断ると不当に解雇された看護師・河瀬今日子(関めぐみ)を助けるため、鈴木が正義感丸出しで奔走する――というストーリーだった。病院側と逆転に次ぐ逆転を繰り広げる展開はいかにも弁護士ドラマらしく、偶然頼みですべてを解決した初回に比べればはるかにおもしろかった。

 とはいえ、いろいろと疑問は残った。鈴木は交渉を有利に運ぶための証拠固めとして、ほかの被害者を探すが、そのうちきちんと接触したのは財田里美という名の元看護師1人だけ。それではあまりにも少なすぎる。案の定、財田の動向に振り回されることになってしまった。普通ならこちら側の証人が多いに越したことはないのだから、少なくとも複数は確保しておくべきだろう。弁護士ドラマとしては詰めが甘すぎる。

 また、いったんは病院からカネを受け取って口をつぐんだ財田が、最終的には病院の告発に協力してくれたという結末も、少々唐突だった観は否めない。甲斐と鈴木の台詞で説明されただけだったため、いつの間になぜ心変わりしたのか、いまひとつ付いていけなかった。一応、甲斐が別件とのバーターで、財田の夫が経営する工場への融資を銀行から強引に引き出したという種明かしはあったが、もう少し丁寧に甲斐の剛腕ぶりや財田の心情を描いても良かった気がする。

 結末が駆け足になってしまった理由は、ごく単純だ。無駄なシーンが多かったからである。具体的に言うと、蟹江貢弁護士(小手伸也)が鈴木に嫌がらせを繰り返す場面や、鈴木が祖母を施設に入居させたり、家を荒らされたりするくだりなどだ。これらのシーンにも後々意味はあるのだろうが、現時点では本筋の流れを断ち切ってテンポを悪くした上に、結末を丁寧に描く尺を削ってしまうというマイナスの効果しかなかった。1話完結型のドラマなのだから、あまり横道にそれている時間はないのではないだろうか。

 気になった点はあとふたつある。ひとつは、このドラマの根幹にかかわることだ。確かに第2話は弁護士ドラマとしては普通におもしろかった。だが、本作は「勝つためには手段を選ばない弁護士=甲斐」と「天才的な記憶力を持つ偽弁護士=鈴木」のバディの話だったはず。それなのに、いまのところ甲斐はそこまで汚い手を使っているようにも見えないし、鈴木の記憶力も特に生かされていない。もう少しキャラ設定を極端に打ち出したほうがいいのではないだろうか。

 ふたつめの気になった点として、劇中に見過ごせない誤りがあったことを指摘しておきたい。不当解雇を申し立てた河瀬がある日郵便受けを開けると、裁判所からの封書が届いていた場面だ。続く場面で、これが病院側からの訴状であったことが明かされる。しかしながら、これは明確な誤りだ。訴状は「特別送達」という書留に似た方法で送られ、手渡しが原則となっている。いきなり郵便受けに入っていることはない。裁判所などからの通知を装って郵便物を送りつける詐欺も横行しているのだから、誤解を与えるような描写はやめたほうがいい。フジテレビは、もう少し社会への影響を考えてドラマをつくってほしい。
(文=吉川織部/ドラマウォッチャー)

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