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フジ月9『SUITS』早くも視聴率大暴落の予感…面白さ皆無、すべて偶然頼みに呆れ果て

文=吉川織部/ドラマウォッチャー
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 織田裕二が主演を務める連続テレビドラマ『SUITS/スーツ』(フジテレビ系)の第1話が8日に放送され、平均視聴率は14.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)だったことがわかった。同作は、アメリカで大ヒット中のドラマシリーズ『SUITS』を原作とした弁護士ドラマ。勝つためには手段を選ばない傲慢な敏腕弁護士・甲斐正午(織田)と、驚異的な記憶力を持つが弁護士資格を持たない鈴木大貴/大輔(中島裕翔)がバディを組み、数々の難しい訴訟を解決していく様を描く。

 第1話14.2%という数字は、月9ドラマとしては昨年7月期の『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命- 3rd season』(初回16.3%)以来の高い水準だ。ちなみに、その後は3期連続で第1話は1桁台に低迷したが、前クールの『絶対零度~未然犯罪潜入捜査~』で10.6%と、ようやく2桁発進に戻した。その流れを受けて、かなり幸先の良いスタートを切ったことになる。

 とはいえ、これをもって「フジテレビ月9ドラマ復活の兆し」と持ち上げるのは早計だ。確かに、ここ最近は視聴率の高低にかかわらず、意欲的な作品づくりをしているように見受けられる。だが、『SUITS』がここまで高視聴率を獲得した理由は、おそらくフジテレビのドラマづくりが視聴者に評価されたためでも、作品が良かったからでもない。「原作に人気があったから」というだけの理由だ。近年は視聴者の好みも多様化しており、普段は海外ドラマしか見ない、という人も少なくない。そんな人も、『SUITS』の日本版がつくられると知り、「どんなものか、一度見てみよう」と思ったとしてもおかしくない。要するに、第1話視聴率はかなり“下駄を履いた”数字だったのではないだろうか。問題は、「まずは一度見てみよう」と思った視聴者にとって、第1話の内容が耐えられるものだったのかどうかだ。

 この問いに対しては、「なかなか厳しそうだ」と言わざるを得ない。第1話は人物紹介や設定の説明に尺を取られるため難しい面があるとはいえ、「おもしろい」と思える部分がほとんどなかったからだ。むしろ、頭の中に浮かんでくるのは疑問とツッコミばかり。甲斐のクライアントに“たまたま”海外を拠点にする実業家がいて、その男が“たまたま”弁護士資格を持っており、もはや弁護士としては活動していないのに弁護士会にはまだ籍を置いていて、中島演じる小物の犯罪者・鈴木と“たまたま”名前が似ていたので、弁護士資格を持たない鈴木にその経歴を乗っ取らせた……という、あまりにも都合の良い展開には、あきれて物も言えない。

 同枠で4月クールに放送された『コンフィデンスマンJP』のようなコメディードラマなら、これくらいの緩さも笑って許せる。だが、これから弁護士として活動しようというのに、その前提がこんなにガバガバな設定では、どう考えても早い段階で、他人の経歴を詐称した偽弁護士だと見破られる展開しか見えてこない。そもそも、今どきはインターネットで検索すれば顔写真だって出てくる時代だ。なぜ顔はそのままでも別人だとバレない設定なのか、意味がわからない。

 弁護士ドラマとしてもまったくパッとせず、“たまたま”相手側の弁護士の息子が違法行為をしていたので、それをネタに脅した――というだけのつまらないオチ。ストーリー展開が何から何まで偶然に頼っていて、まったくおもしろみがない。もっと頭を使って相手を追い詰めるドラマが見たかった。脚本・演出ともに出来が悪く、笑えもしなければハラハラドキドキもせず、最後にスカッとするわけでもなく、ただただつまらなくテンポの悪い映像を約1時間半見せられた、というのが正直な感想だ。

 ただ、俳優陣は決して悪くない。所長を演じる鈴木保奈美は、暴れん坊の織田の手綱をうまく引いている感じが非常によく表現されているし、織田は少し芝居がかっているものの、回を重ねればもう少しこなれてくるはず。中島はイケメンぶりが天才的な頭脳を持つ役にぴったりだ。唯一、織田のライバルを演じる小手伸也はしっくりこない。主人公にいつもやり込められるお笑い的なポジションならぴったりだと思うが、ガチなライバル役はあまり似合わない印象を受ける。どうやらフジテレビは今作をシリアス系な弁護士ドラマとしてつくりたいように見受けられるので、コメディー要素を小手に集中させることでメリハリを付けてみてはどうだろうか。
(文=吉川織部/ドラマウォッチャー)

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