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『ハケン占い師アタル』第5話で突然面白く!“不公平な世間”を生きていく処方箋を提示

文=吉川織部/ドラマウォッチャー

 杉咲花が主演を務める連続テレビドラマ『ハケン占い師アタル』(テレビ朝日系)の第5話が14日に放送され、平均視聴率は前回と同じ10.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)だったことがわかった。

 このドラマは、あらゆるものが見える能力を持つ派遣社員・的場中(まとば あたる/杉咲花)が、その能力を駆使して周りの正社員たちが抱える悩みを解決していくお仕事コメディードラマ。『家政婦のミタ』『過保護のカホコ』(ともに日本テレビ系)などを手掛けた人気脚本家・遊川和彦が脚本と一部演出も担当する。

 今回は、仕事はできるが常にピリピリしている女性社員・田端友代(野波麻帆)の人物像を掘り下げた。第4話までの時点で、「田端はツンケンしてとっつきにくい人物」というイメージが視聴者に定着していた。いつも無表情で、何か頼まれれば「それ私の仕事ですか」と言い返す。チームとして協力し合おうという意識に乏しいのか、自分の仕事さえすればよいというスタンスで、残業も絶対にしない。

 それも働き方だから悪くはないのだろうが、「そんなに自ら周囲を敵にするような言動を取らなくても」と言いたくなる。このドラマは毎週1人ずつ悩みが解決されていく構成なので、いかにも闇が深そうな田端の順番が来るのを楽しみにしていた人も多かったのではないだろうか。

 視聴者の期待に応えるように、第5話では今まで明かされなかった田端の私生活が描かれた。定時で退社するのは、会社近くのカフェでイケメンの店員を眺めながらくつろぐのが好きだから。なんだ、いつも能面のような顔をしているのに、意外とかわいいところもあるではないか……。

 と思ったら、彼女の抱えている現実が浮き彫りになった。田端の母親はすでに亡くなっており、職にも就かずゴロゴロしている父と弟をひとりで養っていたのだ。家事もすべて田端が担当しなければならず、心身ともに疲れ切っていたのだ。

 会社における田端の態度は、これまでも決して良いとは言えなかった。だが、第5話では蓄積した不満が頂点に達してしまい、とにかく周囲のすべてを攻撃して会社に損害を与えかねない事態にまで陥ってしまった。それ自体は責められても仕方がないし、実際にそんな社員が自分の会社にいたら、誰だって非難の声を上げるだろう。

 でも、その陰に押しつぶされそうな状況があったことを知れば、一概に責める気にもならないのではないだろうか。むしろ、「大丈夫?」「何か助けになれることはない?」と声を掛けてあげたくなるかもしれない。他人の行動の表面だけを見て判断したり非難したりしていないだろうか、と考えさせられる。

 このドラマのパターンである「悩みを抱えた人がアタルに占ってもらい、新たな一歩を踏み出す」という展開自体は、もちろん今回も同じ。ただ、今回はいくつかこれまでと異なる点が見られた。その回のメインとなる人物(今回は田端)に占いを勧めるのが、前回アタルに占ってもらった上野誠治(小澤征悦)だったのも、そのひとつだ。気難しくてパワハラ体質だった上野が、すっかりアタルの信奉者になったことと、周囲の人を気遣う人間になったことを同時に描写しており、アタルの占いの威力のほどがうかがえる。

 超高飛車な態度で正論を浴びせつけるだけだったアタルの占いにも、やや変化が見られた。なかでも、「私たちはこの不公平な世界で生きていくしかないの。自分の運命を呪ったって意味ないの!」というアタルの台詞は、彼女自身に言い聞かせているように見えた。何かを頼まれれば、いつも笑顔で「喜んで」と返事をして楽しそうに働くアタルも、本当は自分の中に深い悲しみや憤りを抱えつつも、今置かれた状況を精一杯楽しんでいるのかもしれない。謎めいていたアタルの人間性が少し垣間見えて、興味が湧いてきた。

 ラスト直前では、田端に「お母さんは元気なの?」と聞かれ、「母は、私と違ってとても強い人です」と答えるアタルの姿が描かれた。これまでなら間違いなく、「それについては言いたくありません」と答えていたはず。田端を占ったことで、アタル自身にもなんらかの心境の変化が生まれたようだ。

 次回は、いつもみんなに気を遣っている課長の大崎結(板谷由夏)をメインに描くようだ。あまりにもいい人過ぎるため、「一番闇が深いのではないか」との予想もある。さらに、アタルの行方を追っている謎の占い師・キズナ(若村麻由美)がアタルにたどり着いてしまうのではないかという伏線も張られた。内容的にはここからが盛り上がるところであり、終盤に向けて視聴率の上積みも期待できそうだ。
(文=吉川織部/ドラマウォッチャー)

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