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『後妻業』視聴率5%台転落の事件…これほど尺を持て余している感丸出しは問題ではないか?

文=吉川織部/ドラマウォッチャー
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 木村佳乃主演の連続テレビドラマ『後妻業』(フジテレビ系)の第4話が12日に放送され、平均視聴率は前回から0.3ポイント減の5.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)だったことがわかった。ついに6%台を切り、危険水域に突入した。

「後妻業」とは、遺産相続目当てで資産家の老人の後妻に収まり、次々と大金をせしめる詐欺のこと。木村は、天才的な手管で男をたぶらかす後妻業の女・武内小夜子を演じる。ターゲットを小夜子に紹介する結婚相談所経営者・柏木亨を高橋克典が、小夜子に狙われた資産家の娘・中瀬朋美を木村多江が演じる。

 事前に公開されていた第4話の予告映像は、いよいよ緊迫した展開になることを期待させるものだった。小夜子と朋美は取っ組み合いのケンカをしており、朋美に依頼された私立探偵の本多芳則(伊原剛志)はなにやら柏木と対決していたからだ。小夜子と朋美による女同士の対決は前回もあったが、柏木と本多による男同士の対決は今回が初めて。どこからどう見てもクセモノの2人が至近距離で向かい合う絵面はVシネマやヤクザ映画のようで、今にも火花が飛び散りそうだ。

 ところが、ドラマ本編は予告映像から想像された内容とはだいぶ違っていた。小夜子と朋美のケンカはほとんどじゃれ合いで、緊迫感ゼロ。特に朋美は小夜子を親の仇と思っているはずなのに、その恨みや憎しみがまったくこもっていない。互いに変顔をするなどオーバーな言動が目立ち、軽快な効果音をつけたり、あるはずのないゴングの音を挿入したりする演出も相まって、コント感を強く感じさせる場面になっていた。

 それがおもしろくなかったというのではない。むしろかなり笑えたし、認知症の資産家・富樫(佐藤蛾次郎)が小夜子と朋美の胸を同時に触って「こっちのおっぱいの勝ち」と無邪気に喜ぶ場面には「よくぞ女優2人からOKが出たもんだ」と感心すらした。だが、ドラマ全体として考えた時に、老人をだまして莫大な遺産を手にした(とされる)小夜子と、そんな小夜子に親を殺されたと思い込んでいる朋美の対決がコントでいいのか、という疑問は大いに残る。その2人の対決がグダグタになってしまったら、もはやドラマとしての軸が失われてしまうからだ。第3話までで早々に「小夜子はサイコパス的な根っからの悪人ではない」と視聴者に明かしてしまったのも失敗だった。小夜子がどんなに悪ぶっても「本当はいい人なんだろうな」「何か訳があるんだろう」という目で見てしまい、緊迫感が生まれないからだ。

 同様に、柏木と本多による男同士の対決も期待外れ。本多は十分な証拠もそろっていないのに柏木の事務所に押し掛け、「あれもこれも知ってるんだぞ」と揺さぶりをかけただけ。当然本多はなんのダメージも受けない。余計なこと言わずに黙って柏木を泳がせて尻尾をつかめばいいのに、この探偵バカなんじゃないだろうか。

 似たような展開は前回もあった。朋美が証拠もないのに小夜子に直接対決を挑み、当然のことながらなんの成果もあげられなかったという場面だ。同じような無駄な展開を繰り返しているのは、このドラマがよっぽど尺を持て余しているからかもしれない。

 尺を持て余しているといえば、第4話ではとうとう朋美の夫・司郎(長谷川朝晴)が事務所スタッフの山本絵美里(田中道子)と浮気していたことが明らかになった。その現場を目撃してしまった朋美は、本多の家に転がり込むことに。ドロドロ展開自体はドラマのテイストに合っていると思うが、もはや『後妻業』のメインストーリーから外れてしまっている。余計な話を広げていくよりも、木村佳乃演じる後妻業の女の「仕事ぶり」や過去を掘り下げる脚本で勝負してもらいたい。
(文=吉川織部/ドラマウォッチャー)

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