現在放送中の連続ドラマ『集団左遷!!』(TBS系)で主人公を演じる福山雅治の熱演が、いろんな意味で話題だ。
廃店寸前の三友銀行蒲田支店に課せられたノルマは、「半年間で融資額100億円」。上層部から「銀行の未来のために、ノルマを達成できなければ廃店にする」と言われ、部下たちを守るため支店長として奮起する福山は、とにかく走り、怒り、嘆く。ここで、2013年に『半沢直樹』大ヒットを生んだこの「日曜劇場」枠ではお約束の“顔芸”が炸裂するのだが、「福山の顔芸はサムい」「大根役者丸出しで引く」など、SNS上では罵詈雑言が炸裂。実際に同作を見てみると確かにかなりの熱演ぶりだが、そこに“男50歳、福山雅治の新境地”が感じられるような気も……。
なぜ彼の顔芸はこれほどまでに不評なのか? あるテレビ局のドラマ部プロデューサーは、次のように語る。
「福山さんは、所属事務所アミューズの先輩女優、富田靖子の相手役という好待遇で事実上の役者デビューを果たし、俳優としてそこまでの下積みを経験しないままブレイクしてしまった。その勢いでミュージシャンとしても成功しその後も順風満帆のため、俳優業で大きく悩むこともなかったのでしょう。その結果、どうしても演技力がデビュー当時から大きく進歩していないんですよね。
彼の人気が絶大なので、これまでは制作側が“福山雅治ありき”で、“福山ができる役”を考え、ここまでやってきたという側面もあると思います。結果どうしても、“感情がわかりづらいイケメン役”が多かった。実際、彼の芝居で最もよかったのは、『ガリレオ』シリーズ(フジテレビ系)の湯川学でしょう。ああいった、感情の起伏がなく淡々とロジカルにセリフを言うことが求められる役こそが、彼に最も向いているのだと思います。
ところが今回の『集団左遷!!』における役は、まさにその真逆。感情をむき出しにして走り回り、部下を熱く鼓舞する中間管理職なわけですから、バリエーションに乏しいという彼の短所がどうしても露呈してしまう。といって、キャリア30年超の福山さんに演技の基礎から指導できるわけもないので、今作ではもう、彼のこうした大げさな演技を眺めているしかない。そもそも失笑ギリギリの過剰な演技が求められる日曜劇場で、しかも銀行モノとくれば、どうしても『半沢直樹』的な顔芸が求められてしまうのは仕方のないこと。でも、共演の香川照之さんや神木隆之介くんの芝居がウマすぎて、福山さんのバリエーションの空回り感が際立ってしまっていますよね。お茶の間に失笑が生まれてしまうのは、ある意味当然なのかもしれませんね……」