サッカーの2014FIFAワールドカップ(W杯)ブラジル大会が開幕し、世界中で盛り上がりを見せていますが、このタイミングでバイラル動画【編註:SNS等での拡散を目的としてインターネット配信する動画】でもサッカーを題材としたものが次々とリリースされています。
今回は、各社の取り組みから主なものをご紹介します。
Beats by Dre 「The Game Before The Game」
Apple社による買収でも話題になった高品質ヘッドフォンブランド・Beats by Dreによるバイラル動画です。ブラジル代表ネイマールとその父のやりとりを中心に、重要な試合に向けて、周囲の騒がしい世界からヘッドフォンを身に着けることで自らを隔絶し、集中力を高めていく選手たちの姿と、試合開始を心待ちにする観客の様子を描いた動画です。6月5日に公開されて、16日までに1000万回を超える再生がされています。
adidas Football 「House Match ft. Beckham, Zidane, Bale and Lucas Moura」
“ベッキンガム宮殿”とも呼ばれる豪華絢爛なベッカムの自宅に、かつてのサッカー界の大スター、デイビッド・ベッカムとジネディーヌ・ジダン、そして新時代のスター、ガレス・ベイルとルーカス・モウラが一堂に会しています。サッカーゲームに夢中になっているニュースターの2人に対して、ベッカムが挑発します。
「勝負するか?」
その言葉をきっかけに、豪華な室内でサッカーが始まります。トロフィーが数々並んだ棚にサッカーボールが直撃し、崩れ落ちます。ベッカムはショックを受けるふりをしますが、すぐに試合再開です。最後はジダンがシャンデリアにゴールを決めて、粉々にします。それをうれしそうに見るベッカム。メインコピーが示されます。
「サッカーは一生もの」
引退後も、なおサッカーの楽しさを忘れない往年のスターを通して、サッカー文化の普遍性をうまく描いたバイラル動画です。6月6日公開から10日間で再生回数は1500万回を超えています。
日清カップヌードル 「サムライ in ブラジル」
日清食品によるカップヌードルのサプライズバイラル動画です。レッドブル・ストリートスタイル・ワールドファイナルの2012年優勝者である徳田耕太郎が、サムライの甲冑を身にまとい、素性を隠してブラジルの街中で次々にリフティングの勝負を挑み、巧みな足さばきを見せます。
「世界に誇る日本ブランド」として国内向けのブランディングを行う日清食品と、世界で戦う日本人フリースタイルフットボール世界チャンピオンというキーワードがうまく合致したバイラル動画となっています。
6月9日に公開後、再生回数は700万回を超え、コメント欄には海外からの書き込みがどんどん寄せられています。
世界的イベントを見逃さない「話題同調」のうまさ
テレビCMと同様、各社ともW杯という一大イベントに合わせて、サッカーやブラジルといった要素をバイラル動画広告のコンテンツとして選んでいます。特にBeats by Dreや日清食品など、直接的にはサッカーやスポーツとは無関係に思える企業も、自社の商品やブランドとの接点を見いだすことに成功しています。
一般消費者の興味がどこに向かっていて、その「話題」と「自社の提供している価値」の共通項が何なのかを探す。動画コンテンツかどうかにかかわらず、ソーシャルメディア時代のマーケティング全般に共通する重要な視点を、グローバル企業は獲得しつつあります。
●株式会社アクトゼロ(http://www.actzero.jp/)
ソーシャルメディアマーケティング、コンテンツマーケティング、YouTube・Vineなどのネット動画プラットフォーム活用で、国内有数のクライアント実績を持つ。