梅雨が明け、いよいよ夏本番。耐えがたい暑さのなか、今年はマスクをつけて外出せねばならないとなると、例年以上に水分補給に気を配る必要があるだろう。そんななか、ワークマンの「イージスボトル 真空保冷ペットボトルホルダー」がネットを中心に大きな反響を呼んでいるのをご存知だろうか。
ワークマンといえば近年、建設現場で働く職人向けのブランドという往年のイメージを新業態「ワークマンプラス」によって刷新。一般向けのアウトドアウェアやスポーツウェアの展開にも注力し、消費者層の拡大に成功したことでも話題だ。
そんなワークマンのイージスボトルは2019年に発売された、真空断熱構造になっているペットボトルボトルホルダー。この商品はSNSでたちまち拡散され、即完売。伝説の商品と化したのだった。余談だが「イージス」とはワークマンのPB(プライベートブランド)である。
そして今年、その争奪戦が再燃。同商品が4月にオンラインストアで再販されると夏を待たずに完売し、6月中旬に再入荷しても即完売。7月中旬現在、入荷の予定はないそうで入手困難な状態が続いているというのである。
幸運にもゲットできたユーザーたちからは称賛の声が続々
ワークマン広報いわく「これまでのワークマンの商品で最も反響があった」というこの商品。運良く入手することができたユーザーたちは、その使い心地について、嬉々としてレビューしている。
「朝入れたお茶が冷たいままだわ。持ち歩くには少しデカイけど便利だわ」
「1時間以上経っても冷たい!! かなりの優れモノ」
「ワークマンのペットボトルホルダーにモンスターぶち込んでストローぶっ刺したんだけど超いい」
「炎天下においてたのにキンキンに冷えたままやった」
「保温も大丈夫だった 便利〜♪」
「飲料がずっと『つめた〜い』『あたたか〜い』です」
こういったSNSの口コミを見る限り、その保冷力と保温力を賞賛する声が後を絶たない。
専門家の批評――990円の低価格を感じさせない機能性
では、ファッションアナリストの山田耕史氏にこの商品の使い心地や機能性を評価してもらった。
イージスボトルは、シンプルなシルバーと幻想的な柄がプリントされたグリーンの2デザイン展開だ。まずこのデザインについて山田氏はこう評する。
「シルバーは『イージス』ロゴのみのシンプルなデザインです。ウェアやグッズなどとの相性が気になる場合は圧倒的にシルバーがオススメ。アウトドアだけでなく、バイクや釣りといったさまざまなアクティブシーン、またどんなインテリアと合わせても違和感はまず生まれないと思います。
一方でグリーンはロゴに加え、万華鏡のようなグラフィックがプリントされた特徴的なデザインです。他のアイテムとコーディネートする場合、違和感が生まれる可能性が高くなってしまうでしょう」(山田氏)
次に、素材感や触感に関して評価してもらった。
「他のワークマンの商品同様、圧倒的な低価格を誇りますが、安っぽさはまったく感じません。しっかりとしたステンレス製で質感は非常に良いです。多くの他メーカーの競合品は倍以上の価格で販売されていますが、それらと比べても見劣りしませんね」(山田氏)
山田氏オススメのシルバーは、シンプルかつ洗練されたデザインで、素材もつくりもチープさを感じさせない“高見え”商品といえるだろう。では、肝心の使い心地や機能性についてはいかがだろうか。
「500mlサイズのペットボトルを入れて蓋を閉めるだけなので、使い方はとても簡単。これなら子供でも扱えます。そして私の使用体験談としては、最高気温30度を超える7月中旬に、冷蔵庫で凍らせたお茶のペットボトルを入れて公園に持って行ったところ、4時間が経過しても氷はほとんど溶けていませんでした。高い保冷力を実感できましたね。
冷蔵庫で冷やしたペットボトルを入れた場合は、普通のペットボトルよりも明らかに冷たさが維持されていると感じました。あくまで個人的な感想ですが、冷蔵庫から取り出して1時間半後ぐらいまでは、冷蔵庫に入っていたときとほとんど変わらない冷たさが保っていた印象です。ペットボトルホルダーをつけることによって、結露で他の荷物が濡れてしまうことを回避できるのもいいですね」(山田氏)
やはりネットの口コミ通り、高い保冷力を実感したという山田氏。しかし、唯一不便に感じたのが重さと大きさだという。
「魔法瓶同様、非常に重くなってしまうのは難点。山登りのような荷物の重量が気になるシーンや、荷物が重くなることに抵抗がある人にとっては向かない商品かもしれません。また、普通のペットボトルよりも一回り大きくなってかなりかさばるので、マチの小さいバッグだと入りにくい可能性もあります。アウトドアでのバーベキューなどのように、持ち歩く必要がないシーンでならば長所が最大限に活きるでしょうね」(山田氏)
ネット上でも「さすが冷たい!でも重い笑」「持ち歩くには少しデカイ」と重さや大きさに対する指摘は散見される。購入を検討している人は、このあたりも念頭に置いておいたほうがいいだろう。
とはいえ、保冷力は確かなもの。デザイン・価格・機能性を総合的に見て、山田氏は以下のように評価した。
「多くの競合品と比べると、半分以下の価格。さらに、機能性も十分なのでお買い得ではありますね。ですが重さや大きさも踏まえて評価すれば、自分の用途を明確にしたうえで購入すべきだと思います」(山田氏)
「ペットボトルホルダー」という日用品で思わぬ注目を集めたワークマン。だがそれも、これまで低価格でありながら高機能な商品を追求した結果なのだろう。今後はワークマンの衣服だけでなく、日用品にも目が離せない。
(取材・文=A4studio)