医療ドラマ『コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命』(フジテレビ)が好調だ。それを受けてドクターヘリに対する関心も再び急上昇中だが、ドクターヘリといえばイギリス王室のチャールズ皇太子の長男・ウイリアム王子に関する話題が興味深い。
ウイリアム王子は、2014年8月に民間企業「ボンドエアサービス」の救急ヘリのパイロット社員になり、9月から訓練を開始。15年春からは、ケンブリッジとノーリッジ空港を拠点に活動する「東アングリアン航空救急」の副操縦士として、患者の搬送などに当たってきた。直系の王位継承者が民間企業で勤務するのは初めてだったため、大きな話題になっていた。
BBC放送によると、ウィリアム王子は13年9月に除隊するまで空軍ヘリのパイロットを務め、150回を超える捜索・救命活動を行っていたという。同年7月27日夜には、東部ノリッジ郊外で警察車両にひかれた50代女性を中部ケンブリッジの病院まで搬送し、3年にわたり続けてきた救急ヘリコプター操縦士として最後の飛行を行った。
さて、今回は「ドクターヘリ」の搬送費はかかるのか、運営費はいくらなのかの2点を検証する。
高い救命効果、信頼性、機動性を兼ね備えたドクターヘリだが、まだ全国にくまなく普及するまでには至っていない。
17年3月現在、41道府県で51機が運航中で、総出動件数は10万件以上。出動内容は、消防本部司令室からの要請出動約70%、病院間搬送のための出動約20%、出動後キャンセル約10%。
疾患別では、外傷約43%、脳血管障害約14%、心臓・大血管疾患約13%となっている(認定NPO法人救急ヘリ病院ネットワーク(HEM-Net)。
では、ドクターヘリの普及を妨げる大きな要因は何か。
それは、ドクターヘリ1機につき年間およそ2億円かかる運営費(機体のレンタル代、人件費、ガソリン代、点検費用、保険代など)だ。
運営費は、国(90%)と都道府県(10%)が負担しているので、救急車と同じように原則として救護される傷病者の自己負担はない(搬送中の機内で受けた診療費・薬剤費などは、国民健康保険などの範囲内で負担する)。