注目集めるキュレーションメディアは違法?模造品売る行為?無許可でコピー&加工して換金
ウェブ、IT業界に精通し、数多くのビジネスの立ち上げを知るリボルバー代表取締役CEOでシリアルアントレプレナーの小川浩氏。先見の明を持つと各界から注目される小川氏がIT、ベンチャー、そしてビジネスの新しい時代を独自の切り口で解説する。
最近では、多くのキュレーションメディアやキュレーションアプリが注目を集め、巨大な資金調達に成功しているが、ここは一つもの申す、としよう。
キュレーションとは、芸術作品などの目利きをすることであり、その行為を行う人をキュレーターという。日本語でいえば学芸員、となる。
翻ってIT業界では、インターネット上で収集した情報を分類し、適度に編集することで付加価値を持たせてコンテンツ化する、という意味になる。
すなわちキュレーションメディアとは、ネット上にある他人がつくった既存のコンテンツを拾い集め、多少加工して自分のコンテンツとしているメディアだ。つまり他人のふんどしで相撲を取っているわけだ。
学芸員や美術商は、商品を複製したりしない。複製はレプリカであり模造品だ。それは二束三文で売れても、本物と偽って売れば即刻逮捕される。
ところがIT業界におけるキュレーターは、オリジナルのコンテンツをコピーし、勝手に加工し、オリジナル以上の価値をつけようとしている。彼らを正当なビジネスモデルとすることは許されることなのだろうか?
●多くのキュレーションメディアは便乗商法?
キュレーションメディアと似ているビジネスモデルに、バイラルメディアというものがある。バイラルメディアとは、バイラル(Viral)すなわちウィルスのように感染力が強いメディアという意味であり、FacebookやTwitterなどのソーシャルネットワーキングサービス(SNS)を通してクチコミとして拡散させ、それによって短期間で爆発的なトラフィックを獲得するメディアのことだ。一つひとつの記事の目立つ位置にソーシャルボタンを置くことでシェアされやすくし、モバイル端末での閲覧を重要視することが特徴である。
構造的には、キュレーションメディアもバイラルメディアもほぼ同じだ。ただ、バイラルメディアとして成功した多くのパイオニアたちが、オリジナルコンテンツの配信を目指し、内部にエディター(記事編集者)を多く抱えているのに対して、キュレーションメディアはプログラム的なアルゴリズムによって既存の記事をかき集めてくるか、人海戦術的に世界中のネタを集めて引用するかのどちらかに注力しているのが違う。
言い換えれば、キュレーションメディアとして生まれたサービスであっても、オリジナルコンテンツを生み出すメディアを志向し、そのための編集者を集め育てていく方向は許されている。