新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、東京都の小池百合子知事は15日、緊急会見を開いた。小池知事は「現在の状況は『感染拡大警報』を発すべき状況だ」と述べ、新型コロナウイルス対策特別措置法に基づき、都民と事業者に対し感染拡大の防止に向けた協力を要請した。
「対策なければ経路不明感染者は16倍」
会見には国立国際医療研究センター・国際感染症センターの大曲貴夫センター長らが同席。大曲センター長は「(このまま対策をしなければ)4週間後、経路不明の感染者は現在の約16倍、1日1200人になる可能性がある。感染は拡大している」と警鐘を鳴らした。待ったなしの状況に見えるが、この局面で小池知事が会見で最もアピールしていたのは都が飲食店や事業所などに配布している「感染防止徹底宣言ステッカー」だった。
会見で、小池知事は「業種ごとの感染防止ガイドラインをチェックした上で、感染防止徹底宣言ステッカーを掲示していただきたい。都民の皆様にはガイドラインを守っていないお店、ステッカーを張っていないお店を避けてもらいたい」と強調した。つまり、ステッカーを張っていない店は危険だから行くなというのだ。
感染防止対策は飲食店が自主的に掲示するステッカー?
ステッカーは東京都ホームページ上の「事業者向け感染拡大防止ガイドラインの徹底に向けた取組」で紹介されている。ホームページ上では以下のように説明されている。
「新型コロナウイルス感染症の拡大防止を図りつつ、事業を実施していくためには、店舗(事業所)等での感染防止対策の徹底が重要です。そこで、事業者の方向けに、事業者が実施すべき感染防止対策を掲載した業種別のチェックシートを作成しました。チェックシートにある感染防止対策を全て実施していただき、専用フォームから申請すると『感染防止徹底宣言ステッカー』を取得できます。
『感染防止徹底宣言ステッカー』を店舗等の目立つところに掲示いただくことで、都民の皆様が安心して利用できる施設であることをお知らせすることができます」
チェックシートは同サイト上で記入することができ、各項目に事業者自身でチェックを記入するとステッカーの画像データをダウンロードできる仕組みだ。東京都や保健所などがチェックするわけではない。つまり実際に対策を行っているかどうかとは関係なく、事業者の良心次第で簡単にダウンロードし、掲示することが可能だ。
会見で小池知事は同ステッカーのダウンロードが現状で1万件程度に収まっていることにも触れ、「(ステッカーの配布は)広がりつつある。ガイドラインを守らないお店は避けてくださいとここまで言っている。ステッカーを掲げた事業者や店舗で、新規の感染者がでるようなことがないようにしていただきたい」と述べた。また特措法の立て付けや効果に関して疑問を示したうえで「(特措法は)お願いベースでしかない」とし、「国会で(改正に向けて)考えていただく必要があるのではないか」などと述べた。
小池氏の会見に、ネット上では「ここまで事態が悪化しているのに、まだ政府と責任のなすりつけ合いを続けるのか」「嘘ついて、ステッカーを貼ることができるのでは」などと疑問の声が上がっている。
本当に効果のある感染防止策はいつになったら打ち出されるのだろうか。
(文=編集部)