小池百合子知事、都民ファーストの会解体→自民党と合流の可能性も
国会議員秘書歴20年以上の神澤志万です。
九州を中心に豪雨の被害が甚大ですね。衷心よりお見舞い申し上げます。報道とともにSNSなどに投稿されている生々しい画像を目にすると、言葉を失います。
新型コロナウイルス感染症対策と災害対応については、以前から課題として取り上げられていましたが、明確な指針が出される前にこのような事態が起こってしまいました。現地の行政担当者のみなさまは、試行錯誤の連続と存じます。責任の所在がはっきりしなければ正しい対策も取れませんから、国会の対応が急がれます。
「小池さんに投票したって人、聞かないよ」
7月5日に、東京都知事選挙と東京都議会議員補欠選挙が行われました。都知事選の結果は、現職の小池百合子知事が約366万票で得票率の約6割を占める圧勝でしたね。得票数も前回より約75万票も上乗せされたので驚きました。
「私の周り、誰も支持している人がいないのに、なんで圧勝するの?」
「それな。うちの家族も友達も小池さんに投票したって人、聞かないよ。どこに小池さんを支持する人たちがいるんだろ?」
たまたま入ったお店で20代らしきグループの声が聞こえてきて、つい神澤も割り込みたくなりました。同意見の方は多いと思いますが、やはり組織票は強いということです。
公明党はもちろん、自民党の二階俊博幹事長も、野党の支持基盤である労働組合の連合も味方についたのですから、勝てないわけはありません。カイロ大学卒業をめぐる「学歴詐称疑惑」も、まったく足を引っ張りませんでしたね。
しかし、最大の勝因は、反小池陣営がどこも強い候補者を出せなかったことでしょう。前回の2016年都知事選では、自民党推薦の増田寛也候補が約180万票、野党推薦の鳥越俊太郎候補が約135万票と、落選者も100万票以上を獲得していますが、今回は次点の宇都宮健児候補が約84万票、3位の山本太郎候補は約66万票でした。2位と3位を足しても追いつかないのですから、どうしようもないですね。
小池陣営は戦略もしっかりしていました。選挙戦の序盤から、出口調査で「小池候補圧勝」といわれていたこともあって、街頭演説をまったく行いませんでした。実は、これも戦略のひとつです。
選挙報道では、「(泡沫候補を除いて)選挙のニュースは各陣営に対して公平に」というルールがあります。小池候補が街頭演説をしなければ、ほかの陣営の様子も報道しにくくなり、他候補のメディア露出が減ることになります。一方、小池知事は現職の強みを生かしてコロナ関連の記者会見を行うため、露出を続けられるのです。
今回はコロナの影響で昔ながらの「どぶ板選挙」は難しいこともあり、あらゆる面で有利だった小池知事の圧勝につながったわけです。アッパレ! ですね。
小池知事は当選した翌日には早速、首相官邸で安倍晋三首相と会談し、国との連携をアピールしていましたが、問題は山積しています。前回選挙の公約がほぼ達成されていませんし、コロナ対応の失策も批判されています。さらに、来年の都議選では、都民ファーストの会と自民党の戦いはどうするつもりなのでしょう。都議選の直前に都民ファーストの会を解体して、自民党と合流という可能性もありますよ。
維新推薦の小野氏が大健闘した事情
神澤としては、日本維新の会が推薦した元熊本県副知事の小野泰輔候補の「健闘」が気になりましたね。小野氏は、副知事時代からツイッターで嫌韓的なつぶやきをしていることがネットで指摘されていました。
16年におおさか維新の会から名称変更をした維新は、代表が松井一郎大阪市長、副代表が吉村洋文大阪府知事ということからもわかるように、関西で人気があります。維新は大阪府内の選挙区以外では衆議院議員はほとんどいませんし、都内ではゼロです。
大阪色の強い維新の候補がどういう結果を出すのかなと思っていたら、小野候補は約61万票を獲得しました。衆議院議員選挙の比例票は「30万票で1議席」と言われていますから、2議席取れるかもしれない計算になります。
この健闘は吉村市長の人気もあったのだと思いますが、61万票でもあと数百票足りなかったそうで、供託金の300万円は没収です。陣営としては相当悔しい思いをしているだろうなと思います。
都議補選は自民全勝で一気に解散総選挙か?
都知事選の投票率は55%で、前回の59.73%を4.73ポイント下回ったそうです。もう少し投票率が上がればよかったですね。
そして、都知事選以上に盛り上がらなかったのが都議補選です。4選挙区で行われましたが、いずれも自民党の候補者が勝ちました。元東京都北区の議会議員で「筆談ホステス」として知られる斉藤里恵候補も立憲民主党公認で出馬していましたが、次点でした。
告示後から出所不明の「自民党調査データ」が出回り、「4選挙区とも自民党が勝てば解散総選挙になる可能性大」とか「日野市は共産党と接戦」などと言われていました。投票日の出口調査でも、「もしかしたら日野は野党が勝つかも」と期待が高まりましたが、けっこうな差をつけて自民党の候補者が当選しましたね。
しかし、九州豪雨の発生や新型コロナ感染者の増加で、解散熱はそう高まっていないように感じます。「一寸先は闇」と言われる永田町ですから、まだどうなるかわかりませんが、衆議院議員の事務所は「常在戦場、準備は怠るな」と気を引き締めているところが多いです。
コロナといえば、7月7日に国会の地下通路で騒ぎがありました。ある事務所の秘書が倒れてしまい、救急隊員が救助に来たのです。普段、地下通路は一般の人は入れず、通行証を与えられている議員と秘書、職員のみが通れるのですが、そこに救急隊員が担架を持って駆けつけたので、ザワザワしました。
しかも、倒れた秘書を取り囲んで「いつから熱が出ていましたか?」「頭は痛いですか?」と聞いていたそうですから、不安になりますよね。その秘書は、発熱が続いていたのに無理して出勤してしまったようです。
現在、議員会館の出入り口にはサーモグラフィーが設置され、体温37.5度以上の人が通るとセンサーが作動するようになっていますが、地下通路は通る人が限られているのでサーモグラフィーが設置されていないため、その秘書も通れてしまったようです。
実は、その秘書はちょっとした有名人でした。元参議院議員でプロレス界の神様であるアントニオ猪木事務所のベテラン秘書だったのです。今は自民党の衆議院議員の事務所にいるようです。救急隊員の様子から新型コロナの感染が疑われたようですが、ご無事をお祈り申し上げます。
『国会女子の忖度日記:議員秘書は、今日もイバラの道をゆく』 あの自民党女性議員の「このハゲーーッ!!」どころじゃない。ブラック企業も驚く労働環境にいる国会議員秘書の叫びを聞いて下さい。議員の傲慢、セクハラ、後援者の仰天陳情、議員のスキャンダル潰し、命懸けの選挙の裏、お局秘書のイジメ……知られざる仕事内容から苦境の数々まで20年以上永田町で働く現役女性政策秘書が書きました。人間関係の厳戒地帯で生き抜いてきた処世術は一般にも使えるはず。全編4コマまんが付き、辛さがよくわかります。