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●政府・大企業によって主張が刷り込まれる危険
また、広告は「広告」と明示されることが一般的だが、原発広告は「特集」「企画特集」と記載されることも多いという。
「本来であれば、『広告』と表示しなければならない性質のものです。それでは、なぜこれらの記事を『広告』と明示しないかというと、実はいずれの場合も、その新聞の編集者や論説委員がコーディネーターを務めていたからです」(同書)
自社の記事を装っているために、「広告」ではなく「企画特集」になってしまうのだ。こうしたケースはNUMOの放射性廃棄物の地層処分を推進する広告に多い。NUMOの原発広告は、処分場候補地を募集するため、全国の地方紙に軒並み掲載されたという。
このように手を替え、品を替え、原発広告が日常的になっていたのが原発事故以前のメディア状況だったのだ。そして、事故後も同様の動きに戻りつつある。
「メディアは広告収入に頼っている面があり、広告を大量に出稿してくれる大スポンサーのネガティブな話は書きにくい。そのため、原発推進側の一方的な情報発信や広告をそのまま掲載したり、放送してきた。今回は原発事故が起きたために、原発広告の手口が明らかになっただけで、原発以外にも政府、大企業といった大スポンサーがいろいろな手法で、彼らの主張をメディアを通じて植え付けているかもしれません。今回の事故を機に、是非多くの人にそういった隠された仕組みを見破る広告リテラシーを身に着けてほしいのです」(同書)
(文=松井克明/CFP)
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