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闘うジャーナリスト・佐々木奎一がゆく! ワーキングクラスの被抑圧者たち 第18回

ローソン、加盟店元従業員が会社を提訴 凄惨な暴行・恐喝が発覚、本部は実態把握しつつ看過

文=佐々木奎一/ジャーナリスト
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・その後、同年12月まで、B社長はA氏を立たせた状態で、机の上に手を置くよう命じ、そのスプーンで、A氏の手の甲や頭部などを執拗に殴り続けた。特に12月初旬から暴行は激化し、毎日のようにバックルーム内でスプーンによる暴行が繰り返され、そのスプーンは変形して折れ曲がるほどだった。この暴行によりA氏は、右環指中手骨骨折し、加療3カ月の傷を負った。

・同年9月~12月:B社長はエアガンを小島二丁目店に持ち込み、A氏の手足の爪、顔面、左目の目尻、太ももなどを撃った。

・同年10月:従業員女性の誕生会でカラオケ店に行き、A氏の両脇にB社長、C店長が座った。23時頃、B社長は、突然、カラオケ店内にある金属製スプーンを持って、A氏の眼球付近の顔面、頭部を10数回にわたって殴りつけ、流血させた。C店長はA氏の腕や足をライターの火であぶったり、A氏の腹を殴打し、他の従業員が止めた。

・同年12月:蔵前三丁目店のバックルームで、C店長は、商品陳列用の棚板や素手でA氏の頭部や腹部を殴った。その翌日、蔵前三丁目店のバックルームで、B社長は木製の六角棒(長さ137cm、直径2cm)を持ち、A氏の両足の親指や爪めがけて、突くように強打した。この時の暴行をA氏は後に刑事告訴し、B社長は暴行罪で逮捕、起訴された。

 同年12月26日、A氏が買い物客に対しポイントカードを所持しているか確認することを失念したとして、B社長はバックルーム内でA氏を正座させて、頭部、腹部を蹴った上、長さ約1mの鉄製の棒で腕を3回殴打した。A氏はついに退職を決意し、同日、エースを辞めた。

 なお、上記の暴行がすべてではなく、毎日暴行を受けていたとA氏は訴えている。

●日常的に恐喝や強制労働も

 しかも暴行だけではない。A氏は恐喝や強制労働の被害にも遭っていた。再び、A氏が受けていた被害を時系列で追ってみよう。

・10年12月:C店長は、エースに在籍していた外国人従業員が店のお金を横領した可能性が高いとして、「Aには穴埋めする責任がある」と金員の交付を迫った。A氏は断ることができず、60万円をC店長に渡した。退職後、A氏は返済を求めて提訴し、C店長に100万円の支払いを命じる判決が言い渡されたが、現時点で1万円しか支払っていないという。

・11年4月頃:小島二丁目店でA氏が金員の集計をしている際、B社長は、A氏の手元からビニール袋入りの現金77万円を隠した。そしてA氏に対し、「現金の管理が不十分。77万円をお前はなくしたことになるんだ」と言い、ビニール袋内の現金を指して、「これは俺のだからお前に貸す」と言って77万円を貸し付け、借用書の作成を強要した。A氏は借用書に基づき、毎月3~4万円の支払いを計8回して、総額25万円をB社長に渡した。

・同年6月:B社長は、A氏に「お前をこのまま殴って警察沙汰になったら困るから」と述べ、「殴られることを了承する誓約書」を書かせた。

・同年3月~9月:B社長、C店長はエースの飲み会代を全額A氏に負担させるようになった。A氏が後日、清算しようとすると、「早いうちに回収しないお前が悪い」と言って一切払わなかった。しかも、B社長、C店長は、キャバクラや高級クラブの支払いもA氏にさせており、一晩で30万円もするクラブの支払いも強要した。また、B社長とA氏は家が近く、A氏の負担でB社長をタクシーで送り届けることも複数回あった。A氏が負担した飲食代はカード明細だけで200万円超、現金支払いを含めると優に300万円を超えていた。

・同年5月~12月:B社長は、売れ残り品について、A氏に「お前の責任だ」と迫り、フライドポテト36個、緑菜24個といった品物の買い取りを強要した。

・同年8月~12月:A氏は基本的に、蔵前三丁目店で22時~翌9時まで働いていた。するとシフトが終わると、小島二丁目店で9~17時まで「手伝い」「応援」と称してタダ働きさせられ、休日も無給で出勤を命じられていたのだ。A氏が拒否すると、B社長、C店長は殴る蹴るの暴行を加えた。

・同年10月6日:C店長は、A氏の仕事の間違いを指摘した上で、罰金として200万円を要求。その場で払えないA氏に借用書を作成させた。A氏は10万円ずつ2回、計20万円を支払った。

 こうした数々の犯罪行為の損害賠償として、A氏は13年7月12日、エースとB社長、C店長、ローソン本部を相手取り、3287万円の支払いを求めて東京地裁に提訴した。

 訴状には、「一連の暴行を伴ういじめ、パワーハラスメントにより受けた精神的苦痛は極めて甚大であり、我が国におけるパワーハラスメントの裁判例に比較しても、その陰湿さ、苛烈さや、期間の長さにおいて、原告の受けたパワーハラスメントに比肩すべき事案が見当たらないほどである」と指摘している。

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