ビジネスジャーナル > マネーニュース > 最大限の利益を稼ぐ「現在価値」思考  > 2ページ目
NEW
山崎将志「AIとノー残業時代の働き方」

金の卵を産むニワトリを使って、最大限の利益を稼ぐ方法…「現在価値」という重要な思考

文=山崎将志/ビジネスコンサルタント

 そこであなたは考え込みました。ニワトリは平均的に100日間卵を毎日一個産み続けるかもしれませんが、目の前にいるこのニワトリが産むのは80個かもしれませんし、120個かもしれません。病気も今のところありませんが、絶対に病気にならないともいえません。ニワトリを1000円で売ることができれば、運よく120個産んだ時の利益を逃すかもしれませんが、80個しか生まなかったときや、病気で死んでしまった時のリスクから解放されることになります。そして、そのリスクはニワトリを買った人が負うことになります。

 もうひとつ、加えるべき別の観点があります。

 あなたはニワトリを売った瞬間に1000円の利益を得ることができますが、買い手がトータルで1000円の利益を得ることができるのは、いろんなリスクを負った後の100日後です。それならば、今目の前にある1000円と、100日後に手にできる可能性のある1000円の価値は違うはずです。そのため買い手は、100日後の1000円は今この瞬間の価値にするといくらになるのかを考えます。

 この考え方は、たいへん重要です。モノの値段から会社の値段に至るまで、ビジネスの世界ではこの、将来生み出す価値を現在の価値に直すといくらなのかという考え方を用いて価値を計算します。その価値のことを「現在価値」といいます。難しそうな概念に聞こえるかもしれませんが、銀行預金の逆だと考えれば簡単に理解できると思います。

 たとえば、あなたが持っている100万円を利息1%で10年間銀行に預けるとします。細かい計算は省きますが、10年後には100万円はおよそ110万円になります。正確には1,104,620円です。だいたい1.1倍になる計算です。10%増えると表現してもいいでしょう。

 では、10年たった後からさかのぼって現在を見てみると、その時の110万円の価値は、10年前には100万円だったということになります。これが、現在価値の考え方です。

 ニワトリに話を戻しますと、買い手にとっての現在価値は1000円よりは下が適正価格であるということです。

山崎将志/ビジネスコンサルタント

山崎将志/ビジネスコンサルタント

ビジネスコンサルタント。1971年愛知県生まれ。1994年東京大学経済学部経営学科卒業。同年アクセンチュア入社。2003年独立。コンサルティング事業と並行して、数社のベンチャー事業開発・運営に携わる。主な著書に『残念な人の思考法』『残念な人の仕事の習慣』『社長のテスト』などがあり、累計発行部数は100万部を超える。

2016年よりNHKラジオ第2『ラジオ仕事学のすすめ』講師を務める。


最新刊は『儲かる仕組みの思考法』(日本実業出版社)

金の卵を産むニワトリを使って、最大限の利益を稼ぐ方法…「現在価値」という重要な思考のページです。ビジネスジャーナルは、マネー、, , , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!