なぜ日歯連は事件を繰り返すのか?年間約6百億の献金・助成金を浪費する国会議員
「政治資金規正法」という天下のザル法
おなじみの「政治とカネ」の問題が浮上しています。日本歯科医師連盟(日歯連)の迂回政治献金事件です。
政治献金には、個人がカンパするかたちで行う「個人献金」と、企業や団体が寄付を行う「企業・団体献金」の2通りがあります。いずれも政治家個人に直接献金を行うかたちは禁じられており、政治団体(資金管理団体および後援会)への個人献金か、もしくは政党への企業・団体献金となります。しかしながら、政治家が支部長を務める政党支部に献金することも、個人献金だけでなく企業・団体献金までも認められていますから、実質的には政治家に直接、企業・団体献金を渡すこともでき、政治資金規正法はザル法と化しているのです。
つまり、あえてわかりにくいかたちをとっていますが、企業や団体からも特定の政治家に金が流れ込む構図は、別段禁じられていないも同然なのです。
ところで、いうまでもないことですが、企業・団体献金は限りなく「賄賂」の性格を帯びたものです。本来は個人の自由意思で行う個人献金こそが、政治活動の一環として望ましいことはいうまでもないのです(ただし、これも偽装できます)。
なぜ日歯連は事件を繰り返すのか?
さて、日本歯科医師会(日歯会)の政治団体、日歯連の政治家への迂回献金事件について簡単に説明いたします。
日歯連が企業・団体献金の年間制限枠5000万円を超える政治資金を、政党支部や議員後援会を隠れ蓑に迂回させて議員側に寄付していたという疑惑が持たれています。日歯連では11年前の2004年にも自民党旧橋本派への1億円ヤミ献金事件があり、当時日歯会会長と兼任だった日歯連会長が逮捕されています。
今回の事件では、すでに前日歯連の副理事長(会計担当)や元日歯連会長、そして前日歯連会長で現日歯会会長の3人が、政治資金規正法違反(虚偽記載)容疑で逮捕されています。一方で、政治資金を受け取った日歯連推薦の自民党参議院議員と民主党参議院議員(ともに参院比例区・歯科医師)は東京地検特捜部から任意出頭が求められています。検察は当然ながら公職選挙法違反での立件も視野に入れているようで、もし関係者から逮捕者が出れば、連座制でこれらの議員が失職するという展開もあるかもしれません。
ところで、なぜ日歯連は多額の政治献金を繰り返しているのでしょうか。
実はこれには、歯科医師の立場が一般の医師のそれと比べてとても弱いという事情があります。2年毎の診療報酬改定で、歯科診療費を少しでもアップさせたいという思惑が、政治的働きかけを強める第一義的な目的になっているからです。