愛する趣味がある人間として、仕事との両立は大切。学生時代以上に使えるお金も増えるため、趣味=オタク活動(オタ活)もより一層充実させたいところです。
でも、皆さんどうやって仕事をしながら、オタ活を両立させているのでしょうか?
そんなオタク女子のお悩みに応える本が『本業はオタクです。シュミも楽しむあの人の仕事術』(劇団雌猫著、中央公論新社刊)です。
平成元年生まれのオタク女子4組「劇団雌猫」(ゲキダンメスネコ)が、銀行員から戦略コンサル、マンガ編集者、さらには芸能マネージャーなど、10人のオタクたちにインタビュー。さまざまな仕事に従事するオタク女子たちの仕事観とオタ活状況が分かる、まさにオタク女子たちの「おしごと百科」です。
ホワイトな環境から激務な職場まで様々ですが、ここでは2人のオタク女子の例をピックアップしましょう。
■激務のコンサル、でも意外とオタク思考が役立っている?
激務の仕事についてしまうと、オタ活をする時間が取れなくなり、生活から潤いがなくなってしまう……。でも、そんな中でも時間をどうにか捻出し、推しに愛を捧げる人がいます。
戦略コンサルタントのマッコウクジラさん(仮名・32歳)は、男性女性問わずグループアイドルを追いかけるオタク。
常にミーティングが入り、資料作成に徹夜も辞さない戦略コンサル。クライアントがいるため、後回しにできる仕事がないという緊張感の高い日々の中で、なんとか割いたオタ活の時間はまさにオアシスといった様子。
また、仕事は多忙ではありますが、時間をフレキシブルに使えるという利点もあるので、平日の夕方にしれっと抜けて、推しのグループが出演するライブイベントに行ったりするそうです。
マッコウクジラさんは「コンサルの思考回路は深読みオタクの思考回路に近い」と言います。コンサルは「仮説思考」と「ロジカルシンキング」で企業の課題解決をサポートするのが仕事。実はこの2つの思考は、深読みオタクや考察オタクがいつもやっていることなのだそうです。また、コンサルの現場は言語化の嵐なので、Twitterで推しへの愛を長文で語り続けられる人も向いているかも、とも。
インタビューの中で、「男女関係なく純粋に仕事のパフォーマンスだけで評価される」「切り替えがしやすい」というコンサルの仕事の魅力も語るマッコウクジラさん。仕事とオタ活、どちらも充実している姿がうかがえます。
■現場で推しと会えても「仕事は仕事」 芸能マネージャーの場合
オタ活の対象が芸能人だった場合、芸能界の仕事に携われば、一緒に仕事ができる可能性があると目論んでいる人もいるでしょう。確かに一緒の現場になることはあるようですが、現実は厳しそうです。
芸能マネージャーのキタキツネさん(仮名・27歳)のオタクジャンルはアニメやマンガ、声優、ジャニーズなど。仕事では女優とタレントのマネージャーを担当しています。
タレントのサポート全てを行うマネージャーは極めて激務。また現場での自分の振る舞いがタレントの仕事にも影響するため、細かいことにも気を付けなければいけません。
そんな彼女のオタ活も仕事に振り回されてしまっているそうで、地方遠征にはもちろん行けず、前日に急に仕事が入り泣く泣くコンサートをキャンセルすることも。エンタメオタクだからこそ、仕事をこなせている面もあるのだとか。
そして、現場で推しに会えることもありますが、「もちろん仕事中なので、ファンです!って態度は絶対に出しません」とのこと。ただ、推しが裏で疲れた顔を見せていたのに、舞台に立つと疲労感を一切見せないプロ意識を垣間見るなど「尊敬することもあります」と、推しへの尊敬を再確認することもあるようです。
芸能マネージャーという仕事について「全力でオタクをやりたい人には絶対向いていない仕事だと思います」とキタキツネさん。それでも、自分の担当するタレントが大舞台で活躍したときは代えがたい感動を得られるのでしょう。
本書はオタク女子が幸せに働くための処方箋をつづった一冊。仕事が忙しくなるとどうしてもオタ活にも支障が出てきてしまいます。
いかにして仕事とオタ活の両立を実現していけばいいのでしょうか。
本書の巻末には、オタク女子たちによる「働き方」についての座談会が掲載されています。バリバリ働くオタク女子たちは、会社選びの際に「自分で自由に外出の予定が入れられることと、きちんとフレックスが使えることを重視しました」「推し事というよりも生きやすさを重視したな」と言った、働く環境を重視していることがうかがえます。
その上で「オタクの生きやすさを追求していけば、ホワイトな労働環境を作れるのでは?」という意見も。確かにチームとして効率よく成果を出せ、残業をすることなく、休みもとりやすい環境はホワイトと言えるはず。
本書は、オタク女子だけでなく、すべての働く人、そしてマネジメント層が自身の働き方や働く環境を考え直すうえで大切なことを教えてくれる一冊です。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。