街中で、超細身のスーツを着たビジネスパーソンを見かけることがある。
しかし、「細身のスーツはビジネスにおいて信用されない服装です。『仕事ができるように見せたい』『モテたい』という目標があるなら、手出しは無用です」と語るのは、『できる男になりたいなら、鏡を見ることから始めなさい。 会話術を磨く前に知っておきたい、ビジネスマンのスーツ術』(CCCメディアハウス)の著者でイメージコンサルタントの石徹白未亜氏だ。
細身スーツの問題をはじめ、スーツにまつわる間違った価値観や社会に出ても教えてくれない“スーツのルール”について、石徹白氏に話を聞いた。
スーツを着たときに大切な「後ろ姿」とは?
――ものすごく細いスーツを着ている人を街中で見かけます。
石徹白未亜氏(以下、石徹白) そういう人は、「スーツは細ければ細いほどいい」という価値観なのでしょう。わずかなゆとりすら「もたつき」と悪いことのように感じ、スキニージーンズを探すような感覚でスーツのスラックスを探しているのでしょうね。
スーツのスラックスとジャケットのサイズは対になっているので、細身のスラックスを着る場合は、ジャケットもボタンを留められないか留められたとしてもはち切れんばかりの過剰なほど細身のものになります。
そういう人は「前から見た状態」だけで服を選んでいます。ですが、試着した際は自分の後ろ姿を鏡で見てほしいのです。体に合わない過剰に細身なジャケットを着ると、ジャケットのベント(切れ込み部分)がパカッと開いてしまいます。実際に、こういう方をよく見かけます。
――確かに、これはみっともないですね。
石徹白 本人は鏡で正面しか見ずに満足しているのかもしれませんが、他人からは後ろ姿も見えています。そもそも、後ろから見てベントがぱっくり開いているようなスーツを着ている状態は、まわりから「無理に細いのを着ているなぁ」と思われるだけです。カッコいいと思っているのは本人だけでしょう。
石徹白 はい。悲しいだけでなく、「脇の甘い人」「ナルシストな人」などと思われることもあります。はたして、「仕事ができそう」「信用されそう」「モテそう」という印象につながるかどうか、よく考えてみてほしいですね。
バブルの頃にはやったゆるいスーツの反動で、今は過剰なほど細身のスーツを着ている人が少なくありません。「ゆるい」も「過剰に細身」も、どっちもダメです。ジャストサイズが一番洗練されて、賢そうかつモテそうに見えます。試着すればすぐにわかることなので、スーツを買う際には必ず試着しましょう。試着できないインターネット通販で買うのはNGです。
『できる男になりたいなら、鏡を見ることから始めなさい。 会話術を磨く前に知っておきたい、ビジネスマンのスーツ術』 「使えそうにないな」という烙印をおされるのも、「なんだかできそうな奴だ」と好印象を与えられるのも、すべてはスーツ次第!