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くじ引き弱すぎる巨人、滝行してもハズレ…ドラフト1勝11敗の原監督は撤退

文=上杉純也/フリーライター
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読売ジャイアンツ・原辰徳監督(「Wikipedia」より)

 昨年のプロ野球ドラフト会議終了後、原辰徳監督以下、読売ジャイアンツ(巨人)関係者はみなこう思ったに違いない。「あそこまでやったのに、佐藤輝明を獲得できなかった」と。

“あそこまで”の詳細は後述させていただくとして、とにかくドラフト会議での巨人の、いや原監督のクジ運の悪さはプロ野球関係者およびファンの間ではつとに有名で、ネタにもされるほどだ。原監督が挑んだドラフト会議のクジ引きは一昨年までで通算1勝10敗。唯一当たりクジを引いたのは、2球団競合で“残り物に福”があった2008年の大田泰示だけで、3球団以上の競合では8戦8敗だった。以下は昨年、佐藤輝明を外すまでのドラフト1位での原監督のクジ引き成績だ(2001~19年)。

 01年 ×寺原隼人(日南学園)4球団→真田裕貴(姫路工)

 06年 ×堂上直倫(愛工大名電)3球団→坂本勇人(光星学院)

 07年 ×佐藤由規(仙台育英)5球団→藤村大介(熊本工)

    ×大場翔太(東洋大)6球団→×篠田純平(日大)3球団→村田透(大体大)

 08年 ○大田泰示(東海大相模)2球団

 13年 ×石川歩(東京ガス)2球団→小林誠司(日本生命)

 18年 ×根尾昴(大阪桐蔭)4球団→×辰己涼介(立命大)4球団→高橋優貴(八戸学院大)

 19年 ×奥川恭伸(星稜)3球団→×宮川哲(東芝)2球団→堀田賢慎(青森山田)

 昨年のドラフトでも“大学生BIG3”と称された近畿大学の大型野手・佐藤輝明を指名したが、4球団競合のすえ、クジを外したのはご存じの通り。ついに通算成績は1勝11敗、しかも3球団以上の競合では9戦全敗となってしまった。しかもこの大物野手を獲得するために「あそこまでやった」のに外してしまったのである。注目は、冒頭に書いた「あそこまでやった」ことが何なのかということだろう。

 答えはズバリ、“滝行”である。しかも、その滝は巨人の宿敵である中日ドラゴンズのお膝元・愛知県名古屋市守山区にある。中日ファンにとって、“パワースポット”とされている倶利加羅不動寺のことだ。この寺がなぜ中日ファンの間で話題になっているのか。

中日のクジ運の悪さを払拭したパワースポット

 事の発端は、中京圏で放送されている『サンデードラゴンズ』(CBCテレビ)という中日ドラゴンズの情報番組にある。大きく関わっているのは、この番組で現在メインMCを務めている同局の若狭敬一アナだ。若狭アナのドラフト会議当日の“疫病神っぷり”は、中日ファンにとって笑えないを通り越してネタになるほどだったのである。

 詳しく説明しよう。若狭アナはドラフト会議の当日、中日が1位指名すると予想される選手を取材するため、当該選手が通う高校や大学に赴いているのだが、それらの選手がことごとく“競合してクジを外す”か“指名されない”という負の連鎖に陥ってしまったのだ。ちなみに、以下がその死屍累々ともいうべき詳細である。

 13年 松井裕樹(桐光学園)×→鈴木翔太(聖隷クリストファー)                   

 14年 山崎康晃(亜細亜大)空振り→野村亮介(三菱日立パワーシステムズ横浜)             

 15年 高橋純平(県岐阜商)×→小笠原慎之介(東海大相模)                      

 16年 今井達也(作新学院)空振り→柳裕也(明治大)                         

 17年 中村奨成(広陵)×→鈴木博志(ヤマハ)   

 ご覧の通り、13年から5年間もハズレが続いてしまったため、あるときから「若狭が取材に行くと空振る」というジンクスが囁かれるようになった。これらの悲惨な結果を受けて、18年のドラフトの際に番組サイドもついに動いた。というのも、この年の目玉選手の1人に春夏の甲子園を連覇した大阪桐蔭高校の主力メンバー・根尾昴がおり、中日は早くからこの根尾の1位指名を公言していたからだ。しかも根尾の出身地は準地元の岐阜県である。競合覚悟で指名するのは当たり前だった。

 そんな選手を抽選で外すなんてもってのほか。それゆえに“疫病神”若狭アナの処遇が問題となったのである。そこで若狭アナがまず行ったのが、5年連続ドラフト取材空振りの厄落としをするための“滝行”だったのだ。滝行はドラフト直前に行われた。若狭アナは滝に打たれながら「根尾く~ん」「ドラゴンズに来て」と必死に祈り、終ったあとは「与田監督が引き当てる映像が浮かびました」と満足げな笑みを浮かべていた。そう、若狭アナは、この期に及んでも大阪桐蔭に行く気満々だったのである。

 だが、この滝行だけで収まらなかったのが熱心な中日ファンだった。「若狭、頼むから大阪桐蔭に行かないでくれ」「ドラフト当日は若狭を名古屋から出すな」「若狭を幽閉しろ」といった声が、局や番組に殺到することとなったのである。

 こうしたファンの熱い声を受けて、アナウンス部や番組制作側が出した結論が、“若狭アナの幽閉”だった。ちなみに、大阪桐蔭へは『サンデードラゴンズ』の当時のアシスタントMC・柳沢彩美アナが向かった。しかも、念には念を入れて番組のSNS上に、社内待機する若狭アナの様子をアップするという凝りようであった。

 注目のドラフトの結果はというと、4球団競合となった運命の抽選で、中日の与田剛監督が根尾を見事に引き当てるという快挙を成し遂げたのである。この結果を受けて当然、この翌年のドラフトでも若狭アナは滝行からの社内待機となり、ドラフト取材は番組の現在のアシスタントMC・加藤愛アナが担当した。すると、3球団が競合した地元・愛知県の東邦の右のスラッガー・石川昴弥のクジ引きに勝利したのである。

滝行をしてもクジに外れた巨人

 そして去年、この滝のご利益の噂を聞きつけた巨人の球団関係者が、倶利加羅不動寺にやってきた。20年のドラフトで佐藤を獲得するため、ライバル球団のご利益にあやかったワケだ。恥も外聞もなく、なりふり構わぬ手段に出たのである。寺の住職によると、19年のドラフト直後に巨人の球団関係者から連絡があり、「お宅の滝は中日ドラゴンズ関係者しか使用できないんですか?」と尋ねてきたという。「そんなことはないですよ。誰でもOKですよ」と住職が答えたところ、20年のドラフト前に本当に滝行に訪れたのである。

 しかも、若狭アナよりも先であった。やって来たのは球団社長、スカウト部長、そして原監督の3人。そのうち滝行を行ったのはスカウト部長のみであったが、原監督は「どうしてもクジを引き当てたい」と、一心不乱に祈っていたという。さらには「人事を尽くして天命を待つ。やるだけのことはやりたい」とも発言していた。まさに切実、本気、必死であった。だが、そうまでしてドラフトに挑んだのに、またもやクジを外してしまったのである。

 その一方で、中日には去年も若狭アナの滝行効果が現れた。目玉投手であった地元・愛知の中京大中京の最速154キロ右腕・高橋宏斗の1本釣りに成功、3年連続で倶利加羅不動寺のパワーの恩恵にあずかった格好となった。かたや成功、かたや失敗と明暗が分かれてしまったが、その差はなんだったのだろうか。巨人、そして原監督が持つ負のパワーの前には、倶利加羅不動寺のご利益も意味をなさないということなのだろうか。

 いや、両者には大きな差があった。ひとつは滝行を行ったのが直接の球団関係者ではなかったということ。もうひとつは、負の連鎖の張本人を“待機”“幽閉”させたことである。そもそも中日は、与田監督が滝行したワケではない。応援番組のMCを務めているアナウンサーが取材に行くと、ことごとく外れるかフラれるため、その厄落としをおふざけでやったのが始まりであった。さらに、この滝行と、万全を期しての社内待機、すなわち幽閉との“合わせ技”がポイントだと、多くの中日ファンは口を揃えている。

 したがって、巨人は滝行を行ったスカウト部長を幽閉させなければならなかったのだが、さすがにそれは立場上、無理だろう。

 中日が根尾の獲得に成功して以降、倶利加羅不動寺にはその噂を聞きつけた人が全国から殺到し、多くの人が滝行を体験したという。そのおかげで寺のあちこちを改装することができたらしい。そのなかに件の巨人御一行様がいたワケだが、そもそも地方ローカル局のアナウンサーが半分ネタで始めた滝行なのに、まさか本気で神仏にすがるとは誰も予想していなかっただろう。

 しかも、他球団の地元にある滝である。去年のドラフト後、中日ファンの間から「近場で滝行できるところはいくらでもあるだろうに」「地元で願掛けしたほうが良かったんじゃないですかね」「他球団の近くにある滝に打たれてもご利益ないでしょ」など、巨人関係者を揶揄する声が多々漏れていた。神仏頼みはやはりダメだと思ったのか、今年は寺に巨人関係者は現れなかったという。

 注目のドラフト会議は本日、行われる。今年の巨人は、原監督がクジ引き役から身を引き、その大役を球団社長に託すと発表した。この変更が吉と出れば、リーグ優勝回数などグラウンドでの輝かしい実績とはあまりにも対照的な、ドラフトにおける原監督の“持ってなさ加減”が改めて浮き彫りとなる。

上杉純也/フリーライター

上杉純也/フリーライター

出版社、編集プロダクション勤務を経てフリーのライター兼編集者に。ドラマ、女優、アイドル、映画、バラエティ、野球など主にエンタメ系のジャンルを手掛ける。主な著作に『テレビドラマの仕事人たち』(KKベストセラーズ・共著)、『甲子園あるある(春のセンバツ編)』(オークラ出版)、『甲子園決勝 因縁の名勝負20』(トランスワールドジャパン株式会社)などがある。

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