買収する度に増える借金でまさに綱渡り経営!?
株価・売上高・有利子負債で振り返る、
ソフトバンク栄光の歴史。
1990年代中盤のインターネットブームの頃から同社は、この孫正義氏の言動と共に常に話題を提供し、注目され続けてきた。そのアグレッシブな経 営姿勢が称賛を浴びる一方で、自社の利益のため、時に欺瞞とも取れるような強引なロジックを振り回してライバル企業や国を攻撃するその姿に反発する者も多 い。そして、ほかに類を見ない巨額な負債を抱えての経営には、常に破綻の噂もつきまとってきた。だが、数々の苦難を乗り越えて、れっきとした大企業として 今も存続していることは、紛れもない事実なのである。
そして、今。ソフトバンクは、さらなる活発な動きを見せ、世間の注目を集め続けている。特に注目すべきは、自然エネルギー事業への参入だろう。ビ ジネスチャンスに乗じて節操がないようにも見えるが、振り返って見ればそもそも同社は、そうした節操のなさで事業を拡大してきたといっても過言ではない。 そしてその歴史は、孫正義氏が新たな人脈を掴み、活用し続けててきた歴史でもある。そこでまずは、ソフトバンクの歴史を右上の年表と共に振り返ってみよう。
81年、ソフトバンクの創業当初の事業は、ソフトウェアの卸売りだった。扱う商品こそ目新しかったが、業種自体は流通業というごく普通のもの。翌82年には出版業に着手し、地味ではあるが堅実なこの2つの事業が、その後長らく同社の柱となっていった。
ソフトバンクがそのイメージを大きく変えるのは、95年のこと。ジフデービス、コムデックス、キングストンテクノロジーなど、アメリカのIT企業 を次々と買収。さらにヤフーやサイバーキャッシュなどのベンチャー企業への投資も成功させ、「インターネット企業」を標榜するようになった。
当時、出版部門に在籍していた元社員は「出版の人間は、買収などの派手な報道を他人事のように見てましたね。実際、古くからいる人と新しく入ってきた人との間で意識の差が激しくて、社内の雰囲気が微妙でした」と、急激な変化に社内でも戸惑いがあったと証言する。