The last days of MF Global – FORTUNE(6月4日)
今回選んだ記事の圧巻は、なんといってもこれ。議会での証言や、破産管財人の詳しいレポートがあるからといってしまえば簡単だが、それにしても極めて詳細で正確な記事が書かれている。人間ドラマとして読んでも面白い。かなり長い英語の記事ではあるが、特に外資系金融機関で働いてみたいと思っている若い人にとっては、必須の読み物ではないだろうか。ドキュメンタリーものの小説のように詳しく、そして金融に対する深い理解を伴っている。翻って考えるに、日本のメディアは金融関係の事件について、ここまで深く正しい理解と、ここまでの網羅性と詳細性を持った記事を書けるだろうか。金融に関する日米ジャーナリズムの底力の、圧倒的な差を見せつけられる記事。読み手にもそれなりのリテラシーが要求されます。
JPモルガン、リスク管理取締役3人は博物館館長らの素人 – Bloomberg(5月25日)
一方この記事は、面白い読み物ではあるが、そしてニューヨーク発の記事ではあるが、全体像の一部を面白おかしく切り出している感が否めない。前出のFORTUNEの記事に比べると網羅性がないのである。そしてそれは、記者の理解の足りなさからそうなっているのかもしれないが、面白くするために、恐らく恣意的に書かれているのではないかと思われる。専門的な記事ほど、そのトピックに対するリテラシーがないと、いとも簡単に歪んだ印象を持たされてしまうということを、改めて認識させられてしまう記事。