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【3】『僕がアップルで学んだこと』著書・松井博氏インタビュー(1)

アップル元社員語る「過酷な社内政治とクレイジーな要求」

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アップル元CEOのスティーブ・ジョブズ。
(「ウィキペディア」より)
「社内政治は本当にキツい。マイクロソフトもすごいらしいですが、それに負けないくらいすごい」
「そもそも要求が無茶なんです。まずジョブズの思いつきから始まるわけです」

 数々のヒット商品を生み出してきたアップル。世間では創業者の故スティーブ・ジョブズを、神様のように畏敬の念をもって崇める人々も多い。

 だが、実際のアップルの現場では、多くの優秀な人材を集め、優れた製品やサービスを生み出すために、キレイごとだけでは済まされない、“超過酷な”社内政治やジョブズから出される“不可能に近い”要求に、社員は絶えずさらされているのだ。

 アップルのスマートでクリエイティブなイメージの裏には、どんな姿が隠されているのか?

 4月に発売され、IT業界のみならず多くのビジネスマンの間で好評を博している『僕がアップルで学んだこと』(アスキー新書)(http://www.amazon.co.jp/dp/4048865390)の著者で、元アップル米国本社シニアマネージャーの松井博氏に、アップルの内実、そして同社が躍進した本当の理由を聞いた。

――アップルと日本メーカーの根本的な違いは、どこにあると思いますか?

松井博氏(以下、松井) まず人材の豊富さが違います。アップル本社があるシリコンバレーは、優秀な人材を集めるにはとても有利な場所です。私が住んでいるクパティーノ市では、居住者の7割がエンジニア。実際に私の周りの人たちの職業を聞いても、アップル、HP(ヒューレット・パッカード)、グーグルなどのエンジニアばかりで、それだけエンジニアがシリコンバレーには集中しているんです。そのうえ、人口の約6割強が中国人、韓国人、インド人などのアジア人なのですが、彼らは皆エリートばかりで、その大半がIT系の仕事に従事している。

――白人は少ないのですか?

松井 ええ。白人は意外と少なく、「白人だから就職に有利だ」ということは一切ありません。「どれだけ仕事ができるのか?」、判断基準はそれだけです。IT系に進む白人は変わり者が多く、ウォール街を目指す白人と違って、お金儲けにそれほど興味がない。彼らには、「自分たちで世の中を変えてやろう」という気概がある。そうした人たちが集まるシリコンバレーは、まさに人材の宝庫なのです。転職も日常茶飯事です。私はアップルに16年在籍したのですが、「一カ所にそれだけ長い期間とどまるのはおかしいんじゃないの?」という感覚なのです。通常は3~5年くらいの期間で転職していきます。ちょっと待遇が悪かったり、会社が傾いたり、株価が下がったりすると、すぐに転職してしまう。次の転職先に困らないから、辞められるのです。

技術者の宝庫・シリコンバレー

――シリコンバレーの生活環境とは、どのようなものなのでしょうか?