人を惹きつけて味方に巻き込んだり、人を共感させるための「プレゼンテーション能力」は社会人として身につけておきたい能力であり、仕事では大きな武器となります。
この能力のお手本として、必ずと言っていいほど名前が挙がるのがスティーブ・ジョブズですが、雲の上の人すぎて「頭ではわかっていてもなかなか実践できない」ということになりがち。もっと身近なお手本の方が、マネをしやすいのかもしれません。
例えば、バスツアーの道中で旅にまつわる情報や見どころを伝え、乗客を楽しませながら目的地に導くバスガイドさんの仕事は一種のプレゼンテーションだと言えます。
事実、そのスキルや心構えには、他のビジネスでも応用可能なものが数多く含まれているようです。
■頭の中に地図を描く
バスガイドさんがツアーの各ポイントの見どころを伝え、その土地の豆知識を披露できるのは、旅の出発地と目的地、テーマなどを把握して、頭の中に地図を描けているからです。
これはプレゼンテーションとそのまま重なります。
プレゼンテーションが下手な人は、聞き手に「結局何が言いたかったの?」という印象を持たれがち。これは自分の話の目的と、そこまでの道順がイメージできていないから起こることであり、「出発地がどこで、どのルートを通ってどこに向かうのか」をあらかじめ考えて望むことで解決できます。
そのためにはプレゼンテーションを旅だと考えて地図を描けば、聞き手が要点を把握しやすくなり、安心して話を聞くことができるようになるのです。
■旅行客に合わせて柔軟に対応する
中高年向けのツアー、女性向けのツアー、家族向けツアーなど、バスガイドさんが対応するお客さんは日によってさまざま。それに合わせて演出や話し方を変えて柔軟に対応しているバスガイドさんは、相手の目線に合わせて話すプロだといえます。
対して、プレゼンテーションの聞き手も社外のお客様、社内のスタッフ、目上の人や部下など、その場によってさまざま。
プレゼンテーションの内容を考える時には、聞き手のタイプや喜ぶポイント、理解力に合わせてシナリオや言葉遣いを変える柔軟性が欠かせません。
■ガイドもプレゼンも「準備が9割」
バスの窓から見える景色とタイミングを合わせて、なめらかに話せるように、バスガイドさんはプロとして完璧な事前準備をしています。
空いている時間を見つけては反復練習を繰り返すことはもちろん、旅行関係の本や雑誌を購入して情報収集し、それを徹底的に頭の中に叩き込んでいるそうです。
プレゼンテーションも同様で、反復練習をはじめとする地道な努力はやはり欠かせません。
手元の資料を見ずになめらかに話すことができるよう、「準備が9割」と心得て話す言葉を徹底的に叩き込んでから本番に臨みましょう。
『バスガイド流プレゼン術 天才ジョブズよりも身近な達人に学べ』(伊藤誠一郎/著、阪急コミュニケーション/刊)には、バスガイドさんのノウハウからプレゼンテーションの極意を抽出し、シナリオの作り方や準備の方法、心構えまで、初心者にもわかりやすく解説しています。
耳に優しく、しかも人を引き込む力のあるバスガイドさんの話術を再現できればプレゼンテーションは完璧です。ぜひ本書を読んでワンランク上のプレゼンテーションスキルにチャレンジしてみてください。
(文=新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。
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