7&iは今夏、グループ各社のネットショッピングサイトを統合、セブンネットショッピングに集約した。これまで別々のサイトで展開していた西武・そごうのe.デパート、イトーヨーカドーのネットスーパー、セブン-イレブンの宅配サービス・セブンミール、赤ちゃん本舗のネット通販、チケットぴあのネットサービス、セブンカルチャーネットワークのセブン旅ネットを一本化した。
各社のサイトを集約することで集客効果を高めるとともに、ポイントの発行などで顧客を囲い込み、売り上げ拡大につなげる。今後、雑貨を取り扱うロフトやデニーズの食品宅配サービスも集約して、2016年2月期に会員数を現在の2倍にあたる2000万人、流通額は現在の3倍の5000億円に拡大させる計画だ。
鈴木会長がいよいよネット制覇に乗り出したわけだが、裏読みしたがるのが流通業界の悪いクセ。本当の狙いは「息子を7&iの取締役に昇格させ、自分の後継者にする布石」(ライバル企業のトップ)と受け止めた。グループのサイトの受け皿となったセブンネットショッピング社長の鈴木康弘氏(47)は、敏文会長の次男である。苦戦が続くネットビジネスをテコ入れして、持ち株会社の取締役に引き上げようと躍起になっていると取り沙汰されているのである。
鈴木康弘氏は1987年、武蔵工業大学(現・東京都市大学)工学部電気工学科卒業後、富士通に入社、システムエンジニアとして働く。96年ソフトバンクに転職。孫正義氏のもとで未開拓の電子商取引(EC)事業の立ち上げに携わった。99年、34歳のときにソフトバンクとセブン-イレブンが中心となって設立した、ネット上で書籍を販売するイー・ショッピング・ブックの社長に就任した。
イー・ショッピング社はソフトバンクからヤフーの傘下に移り、2009年12月に7&iの子会社に。社名をセブンネットショッピングに変更し、康弘氏は敏文会長の後継者候補としてデビューしたわけである。
7&iはリアル店舗では強者だがネット通販では弱者。ネット通販には楽天、アマゾンという強者がいる。品揃え、価格、そして使い勝手が重視されるネット通販は専業大手の厚い壁を突破できずにいる。ありていに言えば、大苦戦中なのである。昨年春、鈴木康弘社長は経済専門紙で、「(楽天などの)専業に比べれば、サービスや技術面で10年は遅れている」と敗北を認めざるを得なかった。