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大塚将司「【小説】巨大新聞社の仮面を剥ぐ 呆れた幹部たちの生態<第1部>」第9回

大手新聞社、紙の発行部数は水増し、ウェブ版は水減らし!?

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「Thinkstock」より

※前回連載はこちら
大手新聞社、取材メモ捏造事件でトップ辞任!?

【前回までのあらすじ】
ーー巨大新聞社・大都新聞社は、ネット化を推進したことがあだとなり、紙媒体の発行部数が激減し、部数トップの座から滑り落ちかねない状況に陥った。そこで同社社長の松野弥介は、日頃から何かと世話をしている業界第3位の日亜新聞社社長・村尾倫郎に、以前から合併の話を持ちかけていた。そして基本合意目前の段階にまで来たある日、いつものように割烹「美松」で密談を行う松野と村尾に呼ばれ、事情を知らない両社の取締役編集局長、北川常夫(大都)と小山成雄(日亜)が姿を現したのだったーー。

 大都社長の松野弥介は、日亜編集局長の小山成雄がつくった、お湯割りのグラスを自分の前に引きよせ、箸の先で梅干しを突いた。そして、一口飲み、続けた。

「鍋ももういいんじゃないか」

 大都編集局長の北川常夫が少し鍋のふたを持ち上げて、また戻した。

「もう少しですね」
「そうか。それじゃ、1つにする新聞の題字のことも説明してくれよ」

 松野が日亜社長の村尾倫郎に先を促した。

「松野さんとの間では『大都新聞』のままでいいんじゃないか、と思っている。『大都』と『日亜』を足して二で割ることも考えていないわけではない。たとえば、『大日』とかね。君たちはどう思う?」

 村尾が北川と小山の2人に振ろうとした。

「おい待てよ。意見を聞くなら、新しい媒体の話も一緒にしないと二度手間になるぞ」

 再び、松野が容喙(ようかい)し、2人が答えるのを封じた。

「鍋が煮立ったようです。鍋をつついて少し待ちますよ。取り皿を出してください」

 小山がぐつぐつ沸騰し始めた鍋のふたを取り、松野、村尾、北川という順で、取り皿を受け取り、鍋の具を盛った。最後は自分の取り皿に盛り、フーフー言って食べ始めた。そして、取り皿に取った具をあらかた食べてしまうと、続けた。

「まだ寒いから、やはり鍋はいいですね。社長、新媒体の話をお願いしますよ」
「小山、そうせかすな。俺にも少しは食わせろ」

 村尾が苦笑しながら、取り皿の鱈(たら)を口に運び、また、御猪口に酒を注ぎ、飲み干した。

「新しい媒体というのはね。ネット新聞だ。うちは合併前、『亜細亜経済新聞』を出していて、合併後も経済情報を売り物にしてきた。その経済情報に特化したネット新聞を出すつもりなんだ。そのタイトルは『日亜経済ネット新聞』にしようということで一応一致している。新社名は『大都日亜新聞社』とするから、『大都』と『日亜』の2つの題字は残る。だから、紙媒体は『大都』でいいんじゃないか、と思っているわけさ」

 鍋の灰汁(あく)を取り、鍋に大皿の具を追加していた小山が取り箸を置き、問い質した。

「社長、ネット新聞は、うちも大都さんもすでに出しているじゃないですか」

●ネット新聞へのシフト

 大都、日亜両社が共同開発したネット新聞を出したのは1年半前である。タイトルは日亜が「日亜ネット新聞」、大都が「ネット版大都新聞」だ。紙は両紙ともに月4000円で、ネット版の価格も100円安い3900円で歩調を合わせた。しかし、紙+ネット版の価格を設定するかどうかで対応は分かれた。

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