大手新聞社、紙の発行部数は水増し、ウェブ版は水減らし!?

　北川が小山と顔を見合わせた。

「そうだ。急ぐ。2人とも経済部出身なんだから、たたき台くらいはすぐできるぞ」

　松野が3人を見回しながら、お湯割りをグイとやった。北川と小山だけでなく、今度は日本酒党の村尾も手をつけていなかったお湯割りのグラスを取り、一口飲んだ。

「北川さん、どこで相談します？」
「お互いの本社は近いから、誰にも気づかれないように外で落ち合って相談すればいい」

　村尾がそう言うと、松野が引き取った。

「編集局長なんて下がみんなやるから仕事がないんだ。時間はいくらでもある。今日のところは帰りに2人で連絡方法だけ決めて、明日から動け。今晩は別々に構想を練るんだな」
「わかりました」
（文＝大塚将司／作家・経済評論家）

※本文はフィクションです。実在する人物名、社名とは一切関係ありません。

※次回は、来週12月14日（土）掲載予定です。

【過去の連載】

第3回『ウェブ化で傾いた大手新聞、合併にすがる社長同士が密談!?』
第4回『巨大新聞社を揺るがす株事情、マスコミは見て見ぬふり…』
第5回『巨大新聞社、外部からのチェックゼロで社長のやりたい放題!?』
第6回『カネでOBを買収し、合併を目論む巨大新聞社を阻む“事情”』
第7回『大手新聞社、広告出稿の見返りにサラ金批判を封じる密約？』
第8回大手新聞社、取材メモ捏造事件でトップ辞任!?