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“勝ち組”伊勢丹が大阪で苦戦のワケ

阪急うめだが全面開業で三越伊勢丹がピンチ! 大阪百貨店戦争の裏

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阪急うめだ一部は、梅田阪急ビル・オフィスタワーで先行開業
「wikipedia」より
 阪急百貨店うめだ本店(大阪市北区)の建て替え工事が終わり、11月21日に全面開業した。売り場面積は建て替え工事前の1.3倍の8万平方メートル。西日本で最大級の規模となった。これにより大阪・梅田地区にある4百貨店(阪急・阪神・大丸・三越伊勢丹)の売り場面積の合計が約26.3万平方メートルとなり、東京・新宿地区の4百貨店(伊勢丹・高島屋・小田急・京王)の約21.2万平方メートルを上回る。

 しかし、2012年度(12年4月~13年3月)の売上高の見通しは大阪・梅田の4店の合計が3400億円。これに対して東京・新宿4店は、業績の見通しを公表していない小田急・京王両百貨店(いずれも未上場)が前年度並みの売り上げを確保したと仮定して4600億円。梅田は新宿に大きく水をあけられている。

 それにもかかわらず売り場面積は梅田が新宿を上回る。首都圏に比べて大阪の商圏人口は少ない。明らかにオーバーストアー状態なのだ。阪急梅田本店という巨大旗艦店の誕生によって大阪の百貨店戦争は決着が速まることになる。

 11年度(11年4月~12年3月)の百貨店の店舗別売上高ランキングによると、阪急うめだ本店は建て替え工事中のため1244億円にとどまり全国5位だった。増床後の初年度売上高は、隣接する阪急メンズ大阪と合わせて2130億円を計画している。計画通りなら西武池袋本店(1764億円)を抜き、日本一の伊勢丹新宿本店(2350億円)に近づく(全国2位ということだ)。

 阪急うめだ本店の出足は好調だ。持ち株会社のエイチ・ツー・オー(H2O)リテイリングによると、全館開業5日間の来店客数は、前年同期比2倍。売上高は1.8倍に達したという。早くも、阪急うめだ本店の一人勝ちの声があがる。

 大阪の百貨店戦争の始まりは04年。当時、JR大阪駅周辺でヨドバシカメラや三越(現・三越伊勢丹)の進出が明らかになり、地域一番店の阪急うめだ本店は全面的な建て替えで、東京勢を迎え撃つことになった。

 百貨店戦争が火蓋を切ったのは、11年5月。JR大阪駅ビルにJR大阪三越伊勢丹がオープンした。阪急百貨店うめだ本店の全面開業はその1年半後だった。

 しかし、大苦戦を強いられているのがそのJR大阪三越伊勢丹だ。今年4月までの開業1年間の売上高は334億円。当初目標(550億円)の6割にとどまり、大幅な赤字となった。来店客が想定を下回ったうえにファッション衣料が伸びなかった。今期も2期連続で大幅赤字となる見通しだ。

 これを受けJR西日本は、12年4~9月連結決算で連結子会社のJR西日本伊勢丹の店舗設備の特別損失(減損分)188億円を計上した。当面は「黒字を見込むことができない」というのが、その理由だ。当初見込んだ収益を確保できないため、JR大阪三越伊勢丹の内装設備を減損処理した。

BusinessJournal編集部

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