本日(12月26日)、自民党の安倍晋三総裁を首相とする、第2次安倍内閣が発足する
自民党は先の衆議院選挙で圧勝し、単独過半数を超える294議席を獲得。すでに新内閣と党執行部人事も固め、派閥の領袖級や実力派の女性議員を起用した布陣からは、来夏の参議院選挙でも圧勝し、衆院の捻れを解消するという強い意志が感じられる。
●反省の色がない民主党議員
しかし、民主党の議員からは、次のような疑問の声が聞かれた。
「安倍さんは『危機突破内閣』と名付けていますが、総理が1年おきにコロコロ変わるのもご自身が先鞭をつけた形ですし、そもそも『向こう6年は立ち直れない』というぐらい負けた6年前の参院選で陣頭指揮をとったのも安倍さんです。日本を危機に追いやった張本人が、日本を救うというのも変な話です」
ちなみにこの議員は、民主党では長らく主流派だった「花斉会」や「凌雲会」に近く、3年3カ月の与党時代は、つねに光のあたるポジションを渡り歩いた。彼の耳には、「政権交代は後退だった」という世間の声など聞こえなかったのだろう。これだけ惨敗した後でさえ、
「高校授業料の無償化や予算にメリハリをつけるなど、民主党はいいことをたくさんやった」
と自画自賛し、「メディアの伝え方が悪いから負けたんだ」と外部を批判することも忘れなかった。
●注目を集めなかった民主党代表選
その前日、世間的な注目をほとんど集めることもなく、民主党代表を選ぶ両院議員総会がひっそりと終わった。二転三転した挙げ句、25日開催が決まったのは2日前。幹事長室からメディアに、取材の事前登録書がメールで送られてきたのは1日前、というドタバタぶりだった。そして、前評判に違わず、
・海江田万里候補:90票
・馬淵澄夫候補:54票
と、参議院議員からの支持を多く集めた海江田の圧勝だった。
衆議院議員の数が、選挙前から約4分の1にまで減ってしまったこともあるが、港区内のホテルに設えた会場に女性議員の姿があまり見えないことを踏まえて、海江田は演説の中でこう言った。
「民主党は女性議員の活躍の場をしっかりつくっていかなければと思っています」
しかし、この点でも、すでに自民党に大きく遅れをとっていたのだった。
同時刻、自民党本部では、高市早苗政調会長と、野田聖子総務会長の人事が発表されていた。党役員に女性が2人起用されるのは初めてだ。過去、自民党は女性枠として、閣僚に女性議員を起用することはあったが、本当の意味で実力が問われる党三役で「女性力」を活用しようという姿勢を見せることはなかった。
民主党の総会が、人数も少なく、非常に冷めた空気で包まれていたのに対して、自民党本部は取材記者や関係者でごった返し熱気が溢れていたのは、単に政権が自民党に移ったということだけではないだろう。「前進か、後退か」と野田前総理は総選挙で問うていたが、3年3カ月、民主党は党内抗争に明け暮れ、思考停止に陥っていたことに気づいていなかったのだろう。