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就活生が知るべき“採用情報”のブラックな内実

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0120_sinkanjp.jpg※画像:『あらゆる
就職情報は操作されている』

著:恵比須半蔵/扶桑社

 12月1日、2013年度大学卒業生(2014年3月卒業)の就職戦線が幕を開けた。おそらく多くの学生は「リクナビ2014」や「マイナビ2014」、もしくは企業の公式ページにある採用ページでエントリーを進めていくことになるが、ちょっと待って欲しい。

 採用サイトに並ぶポジティブなコピーの数々、働く社員の笑顔、そしてセンスの良いデザイン。それらは学生が会社のことを知る重要なものであるとともに、そこで会社の本当の姿が隠されてしまうこともある。

 元大手就職情報会社の社員で、就職アドバイザーの恵比須半蔵氏の『あらゆる就職情報は操作されている』(扶桑社/刊)は、就職情報サイトや企業の採用ページをはじめとしたさまざまな「就職情報」の裏を暴露する一冊だ。

 入る前はとても風通しの良い会社だと聞いていたのに、実は全く良くなかった。若くても実力次第で昇進が可能という社風に魅力を感じたが、実は若手がすぐに辞めてしまい、上がいなかった。そんな風にしてミスマッチを起こし、結局3年以内に辞めていく学生は後を絶たない。

 恵比須氏はこうしたミスマッチの原因として、就職情報会社の存在をあげる。就職情報会社が運営している就職情報サイトには、過度に美化された会社の文句が並ぶ。そうした言葉や写真に振り回され、自分には向いていない会社に入ってしまう。ある程度、社会に出て仕事をしていればなんとなく推察がつくだろうことでも、学生にとってそれは難しい。そして入ってから違うことに気付くのである。

■「お金をかければ学生は集まる」ブラック企業のやり方

 特にタチが悪いのが、いわゆる「ブラック企業」だ。ある程度、ブラック企業として名前が知れ渡っている企業は、悪い評判を駆逐しようと、お金をかけて採用サイトをセンスのあるデザインで構築し、学生を呼び寄せようとする。

 企業ごとの採用ウェブサイトや入社案内などの「採用広告」を作っている就職情報会社も、多額のお金を出してくれるクライアントの意向に沿うように努力する。なぜかフラッシュを画面いっぱいに使い、効果音が流れ出す採用サイトがあるが、よく考えれば、そもそもそこまでする必要はあるのかと思ってしまう仕掛けが満載だ。

 また、例えばコピーもこんな感じで変換することができる。これは本書に掲載されているミニマンガを参考にしたものだ。

・残業している社員多い→「みんな仕事が楽しくてなかなか帰ってくれないんですよ(汗)」

・年下の上司が年上の部下をいびる→「若手でも実力しだいで昇進できます」

 これらはあくまで例だが、こんな風にどんなことでもポジティブに言い換えることができるのだ。そして、大金を投じて豪華な「採用広告」をつくり、ナビサイトからのぞきにきた学生にインパクトを与えて会社説明会におびき寄せ、この会社ってすごい!と錯覚させて、入社させる。本書に掲載されている、とあるブラック企業の人事担当者の「お金さえかければ学生は集まるんです」というコメントはまさに象徴的だ。

■「ソー活」って実際どうなの?

 もう一つ、本書から紹介しておきたいのが「ソー活」だ。ツイッターやフェイスブックを活用した就職活動のことで、最近では企業が採用ページをフェイスブックの中に構築したりするケースも多くなった。

 就活生が企業ページ内の発言を知るためには、そのページの「いいね!」をクリックする必要がある。一方、企業は誰が「いいね!」を押したか分かるので、そこから遡って、学生の情報を知ることができる。もし、学生側が自分のタイムラインを誰でも見られるような設定にしていたとしたら、行動が筒抜けになる可能性もある。

 恵比須氏は「ソー活」をはじめる前に自分のページを確認し、問題がありそうなら削除するなり公開再設定をするなりしたほうがいいとアドバイスする。

 本書は就職情報会社を痛烈に批判する一冊だが、もちろん、就職情報会社の営みのすべてが悪であるというわけではないとも述べている。ノルマに追われた就職情報会社の営業やディレクターたちが目先の契約金に捉われてしまう、そんな業界の構造もある。

 人生を左右するイベントである新卒入社のための重要な情報が、コントロールされているという事実は知っておくべきだろう。自分のしたいことをしっかりと考えること、行きたいと思った会社の徹底した調査など、就職活動において本来すべきことの重要さが分かるノンフィクションだ。

(文=新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。

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