倒産企業社長が明かす「倒産の原因」の共通点…自己中心、他人のせい、苦手なことを避ける
「八起会」(倒産110番)という会がある。企業を倒産に追い込んでしまった倒産社長の会で、会長は野口誠一という、ご本人も倒産の経験を持つ人である。
この会が、会員の議論を通じた結果としてまとめた「倒産の原因ベスト10」を次のように発表している。
(1)経営者の高慢、経営能力の過信
(2)社員教育の不備、欠如
(3)事業目的・目標・計画性の欠如
(4)業界情報の不足と環境変化への対応
(5)新商品の欠如、技術開発の遅延
(6)家庭不和、同族経営の弊害
(7)公私混同、経営哲学の欠如
(8)決断力・実行力の欠如
(9)計数管理の不足と勉強不足
(10)ワンマン、反省心の不足
これらの倒産理由から浮かび上がってくる“発見”が3つある。
第一は、倒産の主な理由はすべて内部要因ばかりであり、外部要因はひとつも挙げられていないということだ。外部要因とは、たとえば、円ドル為替相場、マクロ景気、原油価格、大災害、政府の規制などである。これらの要因は、ベスト10には顔を出していない。挙げられたのはすべて社内の内部要因ばかりである。アメリカには、企業倒産の約40%は外部要因に起因し、60%は内部要因であるという調査結果があるが、日本の倒産社長は自社に内在する内部要因こそが倒産の原因だと考えている。
第二は、倒産の原因、直因・遠因共にすべて経営トップ(社長)に起因するということだ。ロシアの諺には、「魚は頭から腐る」というものがあるが、企業も然りで、腐るときは頭(トップ)から腐る。社長の傲慢と怠慢、社長の勉強不足と努力不足、社長の自律心と自制心不足など、すべての倒産理由は社長という企業の頭に所以する、というのが倒産社長の総意である。
第三に気づくのは、方向性が不明確であると同時に環境変化に対する対応ができていないという点である。上に述べた(3)事業目的・目標・計画性の欠如、(4)環境変化への対応、(5)新商品の欠如、技術開発の遅延、(7)経営哲学の欠如、これらはすべて企業の方向性が定かでない上に、変化に対する対応が不適切だったということを意味している。