ボーイング、787運航再開のメド立たず、日本企業に責任なすりつけ!?
(「Wikipedia」より)
B787の部品点数は100万~300万点といわれ、自動車の100倍だ。100万点以上の部品があるロケットの場合、基幹部品に重大な故障があれば、半年以上、打ち上げが延期されることもある。B787の復旧に時間がかかると、それだけエアライン(航空会社)やB787の機体に関係している企業の経営のリスクが高まることになる。
B787の価格は1機200億円前後。引き渡し済みのものを含め、受注は850機で、総額17兆円。それだけに、日本の部材供給メーカーの期待は大きかった。
基本設計は米ボーイング社が行ったが、主翼や胴体部分など、機体の35%は日本企業が製造する。B787は、まさにニッポンの技術の粋を集めた“準国産機”なのだ。
主翼は三菱重工業、主翼と胴体をつなぐ中央翼は富士重工業、前部胴体の一部や主脚格納部などは川崎重工業、エンジン部品はIHIが製造した。タイヤはブリヂストン製だ。
東レは、炭素繊維複合材を鉄やアルミに代わる素材として独占的に供給。これで機体の軽量化が実現し、「ドリームライナー」の異名を持つ“夢の翼”に貢献した。東レ業績へのB787の寄与は2014年3月期の売り上げで200億円。営業利益で40億円といわれている。21年までの16年間で、60億ドル(約5260億円)超の売り上げを見込んでいる。
また、B787に搭載されるすべてのリチウムイオン電池を納入するのが、ジーエス・ユアサコーポレーション(GSユアサ)である。ボーイング社は従来、電動工具などに使われているニッケルカドミウム電池を使っていた。B 787で初めてリチウムイオン電池に替えた。機体の大幅な電子化、軽量化を進めるために採用を決断した。
B 787は「電気飛行機」と評されるほど、最新の電子制御システムを導入している。従来の飛行機は油圧装置で機械的に主翼などを動かしているが、B 787は電線1本で電気信号を介して操作する。
発煙したリチウムイオン電池は新しい素材だ。運輸安全委員会の専門家も「これまでリチウムイオン電池に焦点を当てて調査したことがない」という。ほとんど、未知のアイテムといってよく、だからこそ調査は難航している。
国土交通省と米連邦航空局(FAA)は1月21日、GSユアサの本社に立ち入り検査に入った。炭化した全日空機のバッテリーの設計・製造が適切だったかどうかを検証するためだ。GSユアサは同電池をフランスの航空機器大手、タレス社に納入。タレス社がB787の電源システムをボーイング社に供給している。
ジーエス・ユアサは2004年に旧日本電池と旧ユアサコーポレーションが経営統合して誕生した純粋持ち株会社。傘下の事業会社がGSユアサだ。自動車用や産業用のリチウムイオン電池に強みを持ち、「新しい事業の柱」と位置付けている。2012年3月期のリチウムイオン電池事業の営業損益は32億円の赤字。11年同期は12億円の赤字だった。電気自動車(EV)に使う車載用電池が、主力取引先となる三菱自動車のEVの販売不振で大きく伸び悩んだ。
自動車メーカー向けの赤字を穴埋めするため航空機市場への売り込みを図り、B787向けには、2010年から納入を開始した。
「FAAが早期にGSユアサ製のバッテリー原因説を流したことで日本の技術への不信が語られ始めているが、そもそも原因は調査中。多分、原因は複合的、多面的なはずだが、米当局はボーイング社の責任にしたくない。日本に責任のすべてを押し付けてくる可能性がある」(国交省の関係者)
経済産業省は昨年末、ハイブリッド車用リチウムイオン電池の生産拡大による雇用創出を期待して、GSユアサに補助金を出した。もともと発火性の高い材料を使っているため自動車業界では導入に慎重な姿勢を示してきたが、今回の事故で、導入はさらに遠のくだろう。だが、リチウムイオン電池は日本が世界に誇る先端技術であり、これが原因だと経産省は大いに困る。