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吉田潮「だからテレビはやめられない」(3月6日)

『サキ』『最高の離婚』、NHKまで…なぜテレビに男性の裸があふれるのか?

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『最高の離婚』公式サイト(フジテレビ HP)より
 主要なテレビ番組はほぼすべて視聴し、「週刊新潮」などに連載を持つライター・イラストレーターの吉田潮氏が、忙しいビジネスパーソンのために、視るべきテレビ番組とその“楽しみ方”をお伝えします。

 男の裸が商品になったのかとつくづく思う。

 最近のドラマで頻繁に出てくるのが、男の入浴・シャワーシーンである。『サキ』(フジテレビ系)では、三浦翔平がシャワーを浴びるシーンが舐めるようなカメラワークで映し出された。『八重の桜』(NHK系)では、主役の綾瀬はるかをさしおいて、西島秀俊の端整な細マッチョ姿が話題になり、なぜか長谷川博己との温泉旅行シーンまで。温泉に行く必然性がまったく感じられなかったのだが、このふたりの人気俳優の入浴シーンは、狙いがあってのことだろう(そういえば『龍馬伝』<同>の福山雅治も、上半身裸が話題になった記憶が……)。

『最高の離婚』(フジテレビ系)でも、瑛太と綾野剛の温泉入浴シーンがあったし、『カラマーゾフの兄弟』(同)では、市原隼人のシャワーシーンが。テレビ朝日系のドラマスペシャル『最も遠い銀河』でも、伊藤英明のシャワーシーンが饒舌に流されていたっけ(伊藤英明って脱がされることが妙に多い。脱がしやすいのか、本人が脱ぐのが好きなのかは知らない)。

 入浴・シャワーに限らず、男が上半身裸になるシーンも含めれば相当数である。テレビドラマだけでなく、CMも映画もそうだ。男の裸に商品価値がついてきたのだ。

 私が子供の頃(30年前)、テレビは女の裸であふれていた。殺人事件は基本的に女の死体が全裸だったし(特にTBSの『Gメン‘75』ね)、2時間モノでは古谷一行や火野正平あたりが必ず女の裸とセットで出ていた。乳首や尻がボロンと出るのは当たり前。大人の女性が大量の女の裸を観させられて、「はぁ、だからどうした」と妙に冷めていた時代でもある(当時子供だった私は、ドキドキうずうずしていたけどね)。

●女の裸が排除されたゆえの必然

 今じゃすっかり逆転現象。世の男性たちはテレビにあふれる男の裸を観させられて、どう思うのだろうか?

「気恥ずかしい」「男の裸なぞ観たくない」「いやらしい」などと感じているのだろうか。30年前に女性たちが感じていたことを、今の男性たちも同様に感じるのだろうか。

 テレビから男女の絡みが一切排除され、女の裸が排除され、残るは男の裸。必然といえば必然だが、「男だったら文句ないでしょ!」という免罪符、あるいは突破口になっているような気もする。

 これをうまく使った知能犯が、トヨタの車「オーリス」のCM。「常識に尻を向けろ」のキャッチコピーで衝撃的だった。映像はスレンダーな女性が赤パン一丁で歩いていく姿を後ろからとらえている。トヨタも思い切ったもんだと感心していたら、実は女性ではなく男性だったというオチ。裸への偏見をしれっとかわす、名作CMである。

 女の裸は何かとクレームの対象になりがちで、頭の固い独自の正義をふりかざす人々から目の敵にされる。が、男はノーマーク。そりゃあテレビ界はそこに目をつけるわな。

 個人的には、男の裸も女の裸も大賛成。がんがん観たい。恥ずかしいモノ、いやらしいモノ、汚いモノ、生臭いモノ、それが表現として必要な場合も多々あるのだから。いつから世の中はこんなに「裸アレルギー」になっちゃったのだろう。島根県の町立公園のダビデ像にパンツを履かせろと要求するなど、愚の骨頂だと思う。

 なので、今ひとつ懸念されるのは、男の裸までもが規制し始められること。男の乳首までもがNGになったら……。可能性はなきにしもあらず。裸を執拗にタブー視するほうが、よっぽど歪んだ性欲と過剰な妄想にとらわれていると思うんだけどなぁ。
(文=吉田潮/ライター・イラストレーター)

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●吉田潮(よしだ・うしお):
ライター・イラストレーター。法政大学卒業後、編集プロダクション勤務を経て、2001年よりフリーランスに。「週刊新潮」(新潮社)、「ラブピースクラブ」(ラブピースクラブ)などで連載中。主な著書に『2人で愉しむ新・大人の悦楽』(ナガオカ文庫)、『気持ちいいこと。』(宝島社)、『幸せな離婚』(生活文化出版)など。カラオケの十八番は、りりぃの「私は泣いています」、金井克子の「他人の関係」(淫らなフリつき)など。

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