眠くなる花粉症薬はもう古い! 新薬が続々登場の花粉症薬最前線
生化学分野に精通し、サイエンス・コミュニケーターとしても活動するほか、教育機関で教鞭も執っているへるどくたークラレ氏が、薬局で買える医薬品や健康・栄養食品を分析! 配合成分に照らし合わせて、大げさに喧伝されている薬や、本当に使えるものをピックアップする。
アレルギー前線真っ盛り。花粉症とはこの時期のものと思いがちですが、スギ、ヒノキが終わってもイネ科、ブタクサ、そしてハウスダストと、実は年中さまざまなアレルゲンがはびこっています。スギとヒノキはたまたま反応する人が多いだけ。ブタクサはスギ・ヒノキアレルギーの人の多くが同様に鼻炎を起こすことも知られています。
というわけで、今一度アレルギー薬についてしっかり基礎知識を付けておいて損はありません。アレルギー薬なんて飲んだら眠くなるだけ……そんな考えはもう古い。眠気の少ない抗アレルギー薬、この薬局に並ぶ第2世代アレルギー薬を知っておけば、鼻づまりで具合が悪いまま仕事の効率を下げずに済むというもの。さっそく紹介していきましょう。
●眠気が少ないものも! 薬局で買える花粉症の薬の効き目は?
・アレグラFX(久光製薬)
「アレ~グラ~」と、嵐の大野智が扮する宇宙人が薬を売りつけるアホなCMでお馴染みのアレグラFX。FXと名前が付いているものの、内容は処方薬のフェキソフェナジンそのもので、配合はほかのアレグラと同じです。フェキソフェナジンは抗アレルギー薬の中で「唯一」説明書に眠気の副作用説明が記載されていないのが特徴。副作用らしい副作用もないために、現在も処方薬として愛用者が多い薬です。処方薬としても、ジルテック、アレジオンと共に3強として長年君臨していた実績もあり、しっかり飲んでいる限り効果は高いです。
ただ、この「しっかり飲む」というのがクセもので、定められた時間に従って、しっかり等間隔に飲まないと効果が持続しないのです。また、抗炎症作用などがないために一旦アレルギーで粘膜を痛めてしまうと、効き目が鈍いことこの上ないという人もあります。
・ストナリニZ(佐藤製薬)、コンタック鼻炎Z(グラクソ・スミスクライン)
ストナリニZもコンタック鼻炎Zも、処方薬としてはジルテック(アレルギー症状を抑える薬)として使われていたセチリジン製剤。アレルギーを抑え込む力はアレグラよりやや高く、その半面、(気になる程でもないにせよ)若干の眠気があります。当然無保証ですが、大して副作用が起きるわけでもないので、アレグラと併用するという使い方もありかと。
・アレジオン10(エスエス製薬)
1日1回でよいというのが強みのエピナスチン製剤。抗アレルギー能力は非常に評価しにくい部分ですが、セチリジン製剤とどっこいどっこいくらいと見ておくとよいでしょう。当然、眠気作用の程度もどっこいどっこい。値段もどちらも10日分で2000円程度とどっこいどっこい。ちなみに副作用に「悪夢」というのがありますが、発現確率は0.1%以下なので、それほど気にするほどでもないでしょう。
・ザジテンAL(ザジテン)
OTC(処方箋なしで変える薬)として出てきた第2世代抗アレルギー薬の中では相当早い段階から発売されていました。というより効き目が弱く、薬局薬としてアレグラやアレジオンが出てきたことで、存在意義を考え直さないといけないレベルでしょう。ただし目薬、点鼻薬は人によっては劇的に効くので、そちらはわりとオススメです。
●医者で処方される薬はもっと効果的!
さて、これだけ揃そろっていれば、医者いらずと思われそうですが、こうした薬がOTCで薬局に出てくるということは、もっと良い薬が処方薬にはあるということ。しかもきちんと保険が利くので、1カ月の薬価も1500円以下に抑えることができます。花粉症の症状が2カ月以上続くほど重度なら処方薬、1カ月くらいなら市販薬で乗り切るというのが、お金の面では割り切れるところでしょう。
ただし、医者による処方薬の中には、少しの眠気があること以外は、圧倒的に効き目の強い抗アレルギー薬「タリオン」や、アレルギー以前に炎症そのものを止めてしまうステロイド系「セレスタミン」といった最終兵器があります。特に目薬、点鼻薬(鼻炎薬)は処方薬に勝る物なしであるので、症状の重い人は耳鼻科に行くことをオススメしますよ。