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大型商業施設やオフィスビルも活況

三井不動産株は今が買い? アベノミクスで都心億ションがバカ売れ!

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post_1808.jpg(「パークコート千代田富士見ザ・タワーHP」より)
 アベノミクス効果で不動産バブルの再来か、といわれている。バブル時代を彷彿させるように1億円超のマンション、いわゆる億ションの販売計画が都心部で目白押しだ。三井不動産のマンション事業を担う三井不動産レジデンシャルは千代田区富士見町で超高層億ション「パークコート千代田富士見ザ・タワー」の第1期販売を昨年11月から始めた。

 この土地は、東京警察病院の跡地。JR飯田橋駅から徒歩3分という交通アクセスの良さに加えて、江戸の名残や緑に囲まれた環境が魅力だ。神楽坂という東京を代表する繁華街も至近距離にある。

 富士見ザ・タワーは地上40階・塔屋2階・地下2階建てで、総戸数は505戸。1期販売(255戸)の販売価格は4990万円から4億4980万円。2011年4月に着工、14年3月に竣工の予定だ。前田建設工業が施工している。

 バブル崩壊後、億ションはリーマン・ショックや東日本大震災の影響もあって振るわなかったが、消費税増税の特需を見込んでいたところにアベノミクスという強力な援軍が現れた。「麻布、青山、赤坂、広尾、飯田橋が億ションエリア」(不動産会社)だという。バブル時代さながらに、億ションが再び活況を呈し始めた。

 三井不動産はオフィスビルや商業施設、ホテルなどの保有・開発・運営を組み合わせた複合型の不動産ビジネスに強みを発揮する。13年3月期連結決算の売上高は前年同期比9%増の1兆4600億円、営業利益が同7%増の1350億円を見込む。リーマン・ショック直前の08年3月期(営業利益1792億円)から利益は減少をたどってきたが、ようやく反転した。今期の予想がさらに、増額修正される可能性が高い。

「三井アウトレットパーク木更津」や「ダイバーシティ東京」など大型商業施設の開業が相次ぎ、業績に寄与し始めた。国内で102の商業施設を運営している。15年、開業予定でショッピングセンター3施設のほか、大阪府吹田市のエキスポランド跡地で大型エンターテインメント複合施設を計画している。

 ネット通販では即日配達競争が激化してきた。物流施設の需要が高まっているのを追い風に、物流施設事業部を新設して、大型物流施設の賃貸事業にも本格参入した。17年度までに2000億円を投じる。ネット商店街、楽天市場の物流業務を代行するのも株価の支援材料だ。物流施設は今後、首都圏で5つ、近畿で1つ造る。

 三井不動産レジデンシャルの12年間(暦年)の新築マンションの引き渡し戸数は5138戸。都内の物件を中心に、震災の影響があった11年の4980戸から持ち直した。14年4月に消費税率が5%から8%に引き上げられる。増税前の駆け込み需要が、この春から夏にかけて、さらに盛り上がってくるだろう。

 オフィスビル市況も改善してきた。バブル崩壊で長期低落傾向にあった都心のオフィスの賃料は05年から07年にかけて回復しかけたが、08年のリーマン・ショックの影響で再び悪化した。

 オフィス専門の仲介会社、三鬼商事の調査によると東京ビジネス地区のオフィス空室率は12年7月からほぼ一本調子で改善し、1月は8.56%と3年ぶりの低水準となった。賃料がバブル期の4割以下に落ち込んだことによる値ごろ感や、新築ビルの供給の減少が背景にある。先行指標である空室率が改善してきたことで初の本格回復か、と色めき立っている。

 分散したオフィスを1カ所に集約する動きも活発だ。上場企業の本社の移転ラッシュが起こっており、2月には9社が移転した。人気なのは新築の大型オフィスビルで、三井不動産が日本橋再生計画の一環としてアステラス製薬と共同開発を進め1月に竣工した「日本橋アステラス三井ビルディング」の稼働率は100%だという。

 3月21日には1月1日時点の公示地価が発表になったが、都内の商業地は、はっきり反転&上昇した。

 安倍晋三政権が進める脱デフレ政策への期待を背景に、不動産市況の反転を先取りする形で、海外の投機マネーが流入、不動産株が買われている。

 三井不動産の今年1月4日の終値は2115円。その後、一進一退を続けていたが、2月22日の終値2102円を底に急伸。3月15日には一時、昨年来高値の2824円をつけた(終値は2725円)。昨年来の安値(1118円、12年1月16日)と比較すると2.5倍である。ちなみにリーマン・ショック前の高値は4000円だ。大型株の範疇に入る三井不が、わずか1カ月足らずの間に3割超上昇したのだから、ただごとではない。

 三井不動産の過去の株価はバブルが始まる86年の安値から87年の高値までで約3倍になり、その後、ブラックマンデーを経て、さらに上昇を続けた。今回も同じように値上がりするのだろうか?

 今後、株価を押し上げる材料になりそうなのが、6月末の株主総会後に公表となる有価証券報告書に記載される「賃貸等不動産の時価」。時価と簿価の差額が含み益となる。12年3月期決算の含み益ランキングでは、三菱地所が1兆9444億円でトップ。2位は住友不動産の9759億円。三井不動産は3位の8104億円だった。

 古くからJR東京駅周辺に多くの不動産を持つ三井不動産はアベノミクスで地価が上昇し、含み益が膨らんでいる。1兆円を突破するとの観測も出ている。

 問題はアベノミクスが終了、あるいは失敗した後だ。公共投資が絞られたり、住宅ローン減税が打ち切られたら打撃だ。それより何より金利が上昇し始めたら、有利子負債が12年末で2兆2248億円ある三井不動産はたちまち失速してしまう。

BusinessJournal編集部

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