ついに中国もコントロール不能 広がる“北朝鮮包囲網”G8でも最大非難
ミサイルの発射も秒読みに入ったと見られ、さらに挑発行動を強めている北朝鮮。すでにミサイル防衛システムを配備した日本、強い危機感を持ちながらも対話する意志を示している韓国、「北朝鮮がいかなる行動に出ようとも、我々にはこの国を守り、この国と同盟国の利益を守る能力がある」(ヘーゲル国務長官/CNNより)と語気を強めるアメリカだけではなく、その包囲網は各国に広がりを見せているようだ。
12日付の日本経済新聞によれば、11日午後に行われた主要8カ国外相会合(G8)では、北朝鮮について「核・ミサイル開発の継続的な進展を最も強い言葉で非難する」との文言を盛り込んだ議長声明が採択された。
岸田文雄外相が「北朝鮮に挑発行為はさらなる孤立を招くのみだとわからせないといけない。G8で強いメッセージを出すべきだ」と訴えたことを受け、ドイツ・ウェスターウェレ外相は「昨今の朝鮮半島情勢を憂慮している。ドイツとしてできる限り協力したい」、イギリス・ヘイグ外相は「G8外省会合で、北朝鮮に対して一致したメッセージを出す必要がある」、カナダ・ベアード・カナダ外相は「日本国民の心配にカナダ国民を代表して共感を伝える。日本の立場を完全に支持する」と語っている。
注目は、北朝鮮に融和的なロシアのラブロフ外相も「挑発的行動を繰り返していることを深刻に憂慮している。国際社会が一致して断固たる対応をとるべきだ」と強い言葉で避難していること。そして、北朝鮮の後見役ともいうべき存在だった中国も、ここにきて苛立ちを見せている。
11日の産経ニュースが、麻生太郎副総理兼財務相の「金王朝の3代目(金正恩第1書記)になってだんだん話がエスカレートし、昔と違って中国のコントロールが利かないような状況になりつつあると感じている」という言葉を取り上げているように、金正恩体制になってから、両国の関係に溝ができつつあるようだ。
12日付の朝日新聞は「北朝鮮緊迫、中国のジレンマ 『金正恩氏とパイプない』」との見出しで、中国の困惑ぶりを伝えている。
中国にとっても朝鮮半島情勢の安定は喫緊の課題であり、北朝鮮に日米韓との対話への復帰を訴え続けてきた。というのも、中朝は半世紀前の「友好協力相互援助条約」で、一方が他国から攻撃を受けた際の軍事支援を約束しており、この条項が現在も有効であるかは明確にされていないものの、朝鮮半島で戦争が起これば、中国はきわめて難しい立場に追い込まれるからだ。
しかし、北朝鮮は6者協議の共同声明を「死滅した」と明言しており、早期に協議を再会する可能性は低い。議長国である中国は顔を潰された格好で、習近平国家主席は7日の演説で「自国だけの都合で地域や世界全体を混乱させてはならない」として、北朝鮮を牽制している。