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吉田潮「だからテレビはやめられない」(7月15日)

ドラマ『DOCTORS 2』はコメディ?見所は高嶋政伸の“ほとばしるコント魂”

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『DOCTORS 2~最強の名医~』公式サイト(テレビ朝日HP)より
 主要なテレビ番組はほぼすべて視聴し、「週刊新潮」などに連載を持つライター・イラストレーターの吉田潮氏が、忙しいビジネスパーソンのために、観るべきテレビ番組とその“楽しみ方”をお伝えします。 


 暗躍するダークヒーロー系だと思っていたのに、すっかり医療コメディ、うっかりコント。ただし、仕掛けは巧妙で、決して陳腐な展開になっていない。それが連続テレビドラマ『DOCTORS 2~最強の名医~』(テレビ朝日系)だ。

 前回放送が好評を博し、今回、シリーズ2を迎えた。初回の視聴率も高かったようで(平均視聴率:19.6%)、主演の沢村一樹もひと安心というところだろう。放送直前に「不倫密会疑惑」が浮上したのは、ちょっと、いや、かなり胡散臭いなと思いつつ。

 でも、このドラマの主役は沢村のようでいて、実は沢村じゃない。昨年、プライベートでいろいろとこじれまくっていた高嶋政伸の、“ほとばしるコント魂”を堪能するドラマである。

 物語はよくある「病院改革」モノで、プライドの高い医師たち、プロ意識に欠けるスタッフ、患者不足に経営難・資金難など、問題山積みの堂上総合病院が舞台。沢村が赴任し、裏でいろいろと操りながら、病院内部にメスを入れ、健全な病院へと導く。それが前回のシリーズ1の話だ。今回のシリーズ2では、立て直しに成功したように見えたのだが、再びスタッフの意識が低下していく。その源が、またしても高嶋である。

 高嶋はそれなりに腕のいい外科医だが、プライドが高く、患者もスタッフも男も女も見下す性格。ボンボン育ちで我慢や辛抱が足りず、癇癪持ち。叔母で院長でもある野際陽子に泣きついたり、文句をたれたり、ほかの医師たち(高嶋の太鼓持ちの連中)と結束して、沢村をいびったり。好き勝手やり放題の高嶋は完全にコメディであり、コントだ。それがまた過剰で面白い。平成の時代でも、異様に濃くて独特な顔立ちがここまで生かされるドラマがあったとは。

 シリーズ1と2の間に、スペシャルドラマも放映されたのだが(6月1日)、そこはまさに高嶋ワールド全開。大学病院の恩師に土下座して謝るというお題に、必死でチャレンジする高嶋。その姿は滑稽極まりなく、憐憫を覚えるほど。このスペシャル版で高嶋のファンがぐっと増えた気がする。もしかしたら、沢村の爽やかな面構えのダークヒーローに期待する人よりも、高嶋の矮小でちんけな傲慢さを観たい人のほうが多いのではないだろうか。

 とはいえ、高嶋のコメディ演技だけが浮いている感じはない。ストーリーの伏線となったり、本筋の結末へとうまく絡めてあるので、全体にバランスがいいのだ。初回も病院への巨額融資と高嶋の院長昇格をリンクさせ、「なるほど!」と思わせる結末に導いていた。ベタなお題の割に、脚本にひねりがあって、ちっとも飽きさせない。

 シーズン2に期待するのは、沢村のダークサイドのさらなる露出である。もっとアコギなやり口で、腹黒い一面を見せてほしい。爽やかさの裏にある業の深さをちょっとのぞかせてほしい。テレビ朝日にとってヒット作『相棒』に続くドル箱ドラマになるかどうかは、沢村の描き方にかかっていると思う。不倫疑惑をかますぐらい大物になったのだから、何をやらせても大丈夫。

 今期のドラマは続編モノが多いが、キャストを替えず、前回とほぼ同じ顔ぶれにしているのはココだけ。役者陣に安定感もあるし、同じキャストだからこそ中身とストーリー展開に自信があるともいえる。他局の続編モノはキャスト総取っ替えで、とっちらかっちゃった失敗作がほとんどだからな。番組名は言わないが。
(文=吉田潮/ライター・イラストレーター)

●吉田潮(よしだ・うしお):
ライター・イラストレーター。法政大学卒業後、編集プロダクション勤務を経て、2001年よりフリーランスに。「週刊新潮」(新潮社)、「ラブピースクラブ」(ラブピースクラブ)などで連載中。主な著書に『2人で愉しむ新・大人の悦楽』(ナガオカ文庫)、『気持ちいいこと。』(宝島社)、『幸せな離婚』(生活文化出版)など。カラオケの十八番は、りりぃの「私は泣いています」、金井克子の「他人の関係」(淫らなフリつき)など。