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参院選の最中、前日弁連会長・宇都宮健児氏に聞く(前編)

危険な安倍政権の正体? 原発推進、米国の軍事費削減のために自衛隊を利用…

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宇都宮健児氏
 参議院選挙戦たけなわだが、「現在の憲法ができて今年で66年、今や最大の危機を迎えています」と語るのは、前日本弁護士連合会(日弁連)会長で、昨年暮れの東京都知事選に立候補して敗れた宇都宮健児弁護士だ。右派・保守派が国会の内外を席巻する中で、リベラル勢力が直面している厳しい状況と、普通の市民が立候補できない公職選挙法のカラクリについて聞いた。

●宇都宮氏の掲げた「脱原発・反貧困・教育基本方針の改定・憲法擁護」

 ご承知の通り、昨年末に石原慎太郎前知事がいきなり都政を投げ出したため、市民のみなさんの要請で都知事選挙に立候補しました。

 「人にやさしい東京をつくる会」という団体を立ち上げて選挙戦を戦ったのですが、基本政策は4つでした。(1)脱原発、(2)反貧困、(3)石原都政の教育政策の根本的転換、(4)憲法擁護です。

 そして極めて短期間の選挙戦ではありましたが、96万8960票と、100万票近くも獲得することができました。ちなみに、約4割が投票に行かず、投票数は664万7744でした。

 多くの人が献身的に運動を支えてくれたものの、我々の主張は都民の1割の人には届きましたが、投票に行かなかった人も含めて、約9割の人には届かなかった。それをどうしようかという問題は、国政レベルの選挙でも同じではないかと思います。

 安倍政権が誕生してから、政治は我々が掲げた政策と真逆の方向に進んでいます。原発は再稼働、場合により新設も考える。貧困問題に関しては、生活保護費を大幅に削減する計画で、3年間で過去最大の670億円を削減しようとしています。その一方で、この11年間増えなかった防衛費を400億円増やし、軍事力の強化に踏み出しています。

 TPPにも参加表明をする。それから教育行政に関しては、教育再生実行会議をつくって、東京や大阪における教員の統制を全国化させようとしています。さらに、首長の権限を強化する一方で、教育委員会を実質的に解体する方向を打ち出しています。

 そして、憲法問題。衆議院で改憲勢力が3分の2の議席を占めるようになりました。もし今回の参議院選挙で、改憲勢力が3分の2を占めれば、憲法改正の発議ができるようになります。

 発議がなされても、その後は国民投票になりますから、ここで反対を国民の過半数にする闘いをできれば、改憲を阻止できます。このように2段、3段の闘いが必要だと思っています。

●米国防費削減の穴埋めのために自衛隊を使う

 安倍政権は、直ちに憲法改正を全面的に着手するわけでなく、まず、集団的自衛権の行使を解釈改憲でやろうとしています。そのために安倍首相は、安保法制懇(安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会=総理の私的諮問機関)を復活させ、この安保法制懇の提言を受けて、国家安全基本法を制定しようとしているのです。

 集団的自衛権というのは、アメリカ軍が攻撃されたときに、日米同盟を結んでいる日本の軍事組織・自衛隊がアメリカの防衛に加担するという考えです。

 従来の政府見解は、集団的自衛権は違憲であり、専守防衛しか認めていません。「米軍が攻撃されたときに日本の自衛隊が参加するのは、日本の防衛とは言えない」という考え方をずっと通してきました。

 集団的自衛権を行使しようとする背景には、アメリカからの要請もあると私は見ています。アフガニスタン戦争、イラク戦争で巨額の戦費がかかったアメリカは、これから先10年間で40兆円の国防費削減を目指しており、その穴埋めをするため、日本に集団的自衛権の行使を求めているわけです。

 それから、憲法改正するために96条改定を先行させようとしています。96条というのは、憲法改正手続きです。現在は、衆参両院の3分の2以上の議員による発議で国民投票にかけられますが、これを衆参の2分の1にしようという考えが96条改憲です。

 この96条に関しては自民党ばかりでなく、日本維新の会、みんなの党、民主党の一部が加わり、超党派の「憲法96条改正を目指す議員連盟」(96条議連)をつくっています。つまり、民主党の中にも96条を変えようと考える議員がいるために、憲法を擁護しようとする我々は、非常に厳しい対応を迫られています。

●121改選議席中103人の改憲派当選で96条改正の発議可能

 現在の参議院の議員数は242ですから、その3分の2は162人です。162人の議員が賛成すれば、憲法96条改正の発議ができる。ご存じのように、参議院選挙は3年ごとに半数の議席が改選され、今回は非改選で選挙がないのは自民・維新・みんなの党で59議席あります。したがって今回の選挙で103人の改憲派が選ばれれば、参院で96条改正の発議がなされる可能性があります。