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マック“敏腕”原田元社長は、なぜ“退任”に追い込まれた?「業績不振はメディアのせい」

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世田谷区にあるマクドナルドの店舗(「Wikipedia」より/Sven Manguard)
 日本マクドナルド社長の原田泳幸氏が、その座をカナダ人女性のサラ・カサノバ氏に明け渡し、自らは持ち株会社CEOに専念することとなった。8月27日に突如行われたこの交代劇。会見の席上で原田氏は「退任ではない」と、しきりに強調している。いったい、この人事の裏側には何があるのだろうか?

 各ニュースサイトの報道からひもといてみよう。

●日本マクドナルド、原田社長退任の背景(後)~得意のマーケティングが不発 - ネットアイビーニュース(9月2日)

 この政権交代の裏には、マクドナルドの経営不振があることは明らか。2004年に社長就任後、奇跡の業績回復を果たした原田氏の旗色が悪くなったきっかけを、本記事では東日本大震災後の消費者行動の読み違えに見ている。

 震災の影響で落ち込んだ売上は戻らず、高価格バーガーは相次いで伸び悩み。低価格メニューで客数を伸ばし、高価格メニューへと誘導する原田メソッドが効果を失ってしまった。さらに12年11月には、価格戦略を転換。定番メニューの販促を行い、低価格商品を削減するも、この戦略が裏目に出て、既存展売上高は1月に17%、2月に12%と2ケタペースで落ちていく……。

 そして、今年の春から100円バーガーを120円に値上げする一方、100円台の商品を拡充するバリューピックスと名づけたキャンペーンを展開。さらに、クォーターパウンダーシリーズが好調となり、客単価が7%上昇するも、客数は落ち込む一方。5月、6月と前年比プラス傾向にあった既存店売上高も、7月には再びマイナスに戻ってしまった。

 その結果、13年1〜6月期決算は売上高が前年同期比11%減の1297億円、営業利益は40%減の70億円、純利益は35%減の45億円と散々な成績に終わった。

●マクドナルド原田社長、初の連続減益 - 東洋経済オンライン(8月10日)

 この業績不振の理由について、8月9日に開いた決算会見で、原田氏はマスコミ報道が一因であることをにおわせている。本記事によれば「バリューピックスを開始したにもかかわらず、お得感が下がることはありえない。申し上げにくいことだが、メディアが“100円マックは消えた”と報道したせいではないか」と語っていた。

 ハンバーガーやチーズバーガーを値上げする代わりに、ポテトSサイズやチキンマックナゲットなどを100円台に値下げするというこの施策。しかし、看板商品の値上げにマスコミは敏感に反応し、「値上げ」のイメージばかりが先行した。

 加熱するマスコミ報道に対して冷静な分析は必要だが、原田氏の発言はやや感情的な恨み節に聞こえなくもない。

●マクドナルド事業会社の社長が交代、原田氏は「退任」を否定 - Reuters(8月27日)

 今回の交代劇で、かたくなに「退任」を否定する原田氏。本人は「新しい経営タレントを投入したマネージメント強化」と説明している。

 では、新社長のサラ・カサノバ氏とは、いったいどのような人物なのだろうか? 1965年カナダ生まれのカサノバ氏はマレーシアやロシア、シンガポールなど6カ国でマクドナルドのビジネス経験があり、2004~09年まで日本マクドナルドの執行役員も務めていた経歴の持ち主。日本では、「えびフィレオ」や「メガマック」などのヒット商品を生み出した実績も持っている。「日本マクドナルドには強い基盤がある。強い基盤の上にさらに強いものを築いていきたい」と抱負を語るカサノバ氏は、世界各国のマクドナルドとの連携を進めていく方針だ。

●不振のマクドナルド 原田氏、退任秒読み - 東洋経済オンライン(9月2日)

 東洋経済オンラインによれば、今回の人事を決定したのはアメリカ本社。業績が好調な時には、本社が送り込んできた後継候補を更迭した過去がある原田氏も、業績不振を受けて、その意向に従わざるを得なかったようだ。

 04年に原田氏が副会長兼CEOに就任した際には、3カ月後に会長兼COOの八木康行氏が退任している。また、原田氏は今年6月からソニーとベネッセHDの社外取締役にも就任しており、年内の原田氏退任の可能性は濃厚といえそうだ。
(文=萩原雄太/かもめマシーン)