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反応さまざまなあのニュースをどう読む? メディア読み比べ(10月29日)

阪急阪神、“食の偽装”の大きな代償〜返金費用1億以上、グループ百貨店等の客足にも影響

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阪急阪神ホテルズが運営するホテル阪急インターナショナル(「Wikipedia」より/Kirakirameister)
 阪急阪神ホテルズが運営するホテルのレストランなど全国23店舗で、提供する料理の食材を偽っていたことが、今月明らかになった。約7年間、延べ7万人以上に対して行われていたと見られる“食の偽装”を各メディアが報じている。

 10月22日付日本経済新聞によると、「鮮魚」と表示しながら冷凍保存の魚を使用するなど、メニュー表示と異なる食材を提供していたのは、同社直営のホテル8施設などにある23店舗のレストランと宴会場。2006年3月から13年9月までの期間で、表示と異なっていたメニューは47種類に上る。同社は該当する料理をホームページや店頭で告知していて、利用したと申し出た客には返金に応じる。

 すでに各ホテルでは、利用者からの問い合わせ対応や返金作業に追われており、10月23日付毎日新聞によると、同社には「2年間、報道されているホテルで毎週のようにオムライスを食べていた。50食分の代金を返してほしい」という要求もあったという。

 また、10月23日付朝日新聞によると、利用者への返金費用は最大で1億1000万円になる見込み。同社の奥村隆明総務人事部長は22日、大阪市内で開いた記者会見で「信用が失墜したので、宿泊予約のキャンセルなど営業面への影響は避けられない」と述べ、返済費用だけでなく、企業イメージ低下への懸念も示している。さらに同紙は「『阪急』『阪神』のブランドが傷ついたことで、グループの百貨店やスーパーで扱う食品の売れゆきにも影響が広がる可能性がある」とも指摘している。

●背景にあいまいな食表示の法令基準

 今回の偽装問題について経済ジャーナリストの荻原博子氏は、10月23日付スポーツニッポンで「ホテルの食事は価格帯が高く、消費者がグレードの高さを求めるもの。高級食材の使用をうたう以上、違う物を使うことは許されない。“どうせ分からない”という考えがまん延していることさえ透けて見える」と、阪急阪神ホテルズの姿勢を批判した。

 偽装表示があった食材を見てみると、一般的にマスの魚卵を指す「レッドキャビア」の表示でトビウオの卵を提供していたり、「九条ネギ」とうたいながら普通の青ネギ、白ネギを使用したケースなどが発覚している。同紙によると、レッドキャビアの相場は「50グラム当たり1000~1500円くらい」だが、トビウオの卵は「1キロ当たり1200~1500円」と約20倍の差がある。九条ネギも通常のネギの2~3倍の値段で取引されるブランド野菜だ。

 また、10月23日付朝日新聞によると、「小山農園」で提供されていた野菜が実際には小規模農家のもので、生産者に無許可でブランド野菜扱いをされていたケースもあったという。

 その一方で、食の表示について法令上で線引きが曖昧なことも、この問題の原因になっていると指摘するのが、10月24日付読売新聞だ。食材や加工食品を対象とするJAS法(農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律)では、解凍した食品も「鮮魚食品」に含まれるが、調理を経たレストランの料理の場合には景品表示法が適用される。景品表示法が禁じているのは、実際よりも著しく良い品であると消費者に誤解させる「優良誤認表示」で、消費者庁の担当者によると今回のケースについては「各メニューの表記について、消費者に『優良誤認』を与えたかどうかを一つずつ判断するしかない」という。

 今回の問題を機に、明確な基準が設けられる可能性もありそうだ。
(文=blueprint)