NEW

シャープの憂鬱、経営再建への試練〜増資空振り、IGZO苦戦、異業種との提携…

【この記事のキーワード】

,

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

シャープ本社ビル(「Wikipedia」より/Otsu4)
 経営再建中のシャープの公募増資と第三者割当増資は、空振りに終わったとの見方が市場で強まっている。

 当初は1株348円で発行し、最大1664億円を調達する計画だったが、増資発表後に株価は2割超下落。このため、調達額は当初想定を約300億円下回り、1365億円となった(11月8日に確定)。1365億円の中には、野村證券を引受先とする追加売り出し分111億円が含まれている。だから、当初計画した公募・第三者割当増資で調達したのは1254億円となった。大幅な目減りである。

 マキタ、LIXILグループ、デンソーを引き受け先とする第三者割当増資は計175億円で、10月22日までに払い込まれた。発行価格が想定より下がった分、新規に発行する株数が増えた。マキタの持ち株比率は2.11%となり、3月に出資した韓国サムスン電子を上回った。

 シャープは調達した全額を2016年3月までの設備投資計画に充てる方針。中小型液晶パネルの高精細化などに500億円、ASEAN(東南アジア諸国連合)での家電生産のための設備投資247億円などだ。

 こうしたシャープの動きに対し、株式市場の反応は冷ややかだ。成長軌道に乗せるための前向きな資金調達ではなく、危機を回避するための窮余の一策と見なしており、14年3月末に退職者に支払う企業年金の積立不足額1200億円を負債に計上するため、債務超過に陥る可能性もあると見ていたからだ。

 シャープは薄型テレビや液晶パネルの販売不振で、12年3月期に3760億円、13年同期は5453億円と2期連続の最終赤字を計上。財務の健全性を示す自己資本比率は今年6月末時点で6%まで低下したため、資本増強は喫緊の課題だった。今回の増資で自己資本比率は12%台に回復し、当面の資金繰りの危機は回避された。ただし、企業年金の積み立て不足分を負債に計上すると、自己資本比率が8%程度に低下する見通しだ。

●苦戦続く虎の子の技術・IGZO

 シャープは5月に発表した3カ年中期経営計画で、最終年である16年3月期に純利益、800億円を目標に掲げた。13年9月期連結中間決算は営業利益が従来予想(5月に公表した150億円)の2.2倍の338億円。最終損益も従来予想(200億円の赤字)から43億円の赤字に赤字幅が縮小した。その要因は、太陽電池の販売増に加え、スマートフォン(多機能携帯電話)が好調な米アップルや韓国サムスン電子向けの液晶パネルの受注増などである。

 だが、虎の子の技術である「IGZO(イグゾー)」を搭載した携帯電話の販売台数は前期比11%減と大きく落ち込み、通期でも10%減の見通しだ。このため9月中間決算ではデジタル情報家電(液晶カラーテレビ、携帯電話等)の売り上げは前年同期の実績を下回り、営業利益は8億円にとどまった。

 14年3月期(通期)の売上高は前年同期比8.9%増の2兆7000億円、営業利益は800億円の黒字、当期利益は50億円の黒字見通しを据え置いた。液晶事業再生がカギを握るが、成長への道筋は明確ではない。

●第三者割当増資を引き受けた3社の思惑

 シャープは電機業界以外の3社に出資を要請した。電動工具メーカートップのマキタ、住宅設備機器大手のLIXIL、自動車部品最大手のデンソーである。中期経営計画では異業種との協業による「5つの新規事業領域の開拓」を掲げている。1社100億円の枠を決めていたが、実際に100億円の出資に応じたのはマキタだけ。マキタは共同でロボット芝刈り機の開発に乗り出す。シャープが持つ「お掃除ロボット」の技術とマキタの芝刈り機の技術を融合して新製品をつくる。ロボット芝刈り機は欧米で需要が伸びており、1〜2年のうちに事業化したいとしている。