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牛乳、人工甘味料、ダイエット食品は危険?食品業界がばらまく「社会毒」

文=和田実
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牛乳、人工甘味料、ダイエット食品は危険?食品業界がばらまく「社会毒」の画像1「Thinkstock」より

 牛乳、低脂肪ダイエット食品、トクホコーラといった“身体にいい”とされるものが、実はだった–こんな衝撃的な事実を明らかにするのは、話題の新刊『医者とおかんの「社会毒」研究』(内海聡/三五館)だ。

 著者の内海医師は内科医として東京女子医科大学附属東洋医学研究所、東京警察病院などに勤務後、現在は精神医療分野を中心にしたTokyo DD Clinic院長、NPO法人薬害研究センター理事長を務める人物。内海医師の言う「社会毒」とは、「人間社会がつくり出した、本来の生物世界に反する物質の総称。本来、人が食べたり、使ったりしなかった物質、そしてそれが人体に悪影響をもたらす物質」のこと。そして、この社会毒が「あらゆる現代病の根源になっている」というのだ。

 例えば、「社会毒」のひとつが牛乳だ。牛乳は健康を維持するために必要な栄養素を豊富に含んだ「完全食品」とされている。しかし、実際には、本来、牛乳を摂取すべき子牛にとっては理想的な食品だが、人間、特にアジア人(成年)は牛乳に含まれる乳糖を分解するラクターゼという分解酵素が離乳期以降は体内で分泌されないために、うまく吸収できないケースが多いのだ。それどころか、乳糖はアレルギー、下痢の原因になることもある。

「牛乳は骨を強くする」という俗説もウソ。反対に骨を弱めてしまうという。「牛乳はビタミンCを弱める。ビタミンCは骨を健康に保つコラーゲンの合成に不可欠。したがって牛乳は骨を弱める」「実際、世界で一番、牛乳を飲んでいるノルウェー人の骨折率は日本人の5倍といわれて」(同書)いる。

 また、牛乳に含まれる脂肪は、ほとんどがコレステロールを増やす飽和脂肪酸であり、これが動脈硬化、心臓病、脳卒中などの原因にもなる。さらに、畜産で育った乳牛の牛乳には成長ホルモンや女性ホルモンも含まれており、牛乳が性ホルモン系のがん(前立腺がん・乳がん・卵巣がん)の発症リスクを高めるという医学研究が発表されているというのだ。「私は牛乳については、タバコや酒のような嗜好品として楽しむもので、決して健康を求めて飲むものではないと考えています」と内海医師は警鐘を鳴らす。

 これらが事実だとしたら、なぜ日本の医学界やメディアが牛乳に警鐘を鳴らさないのか?

 そもそも牛乳はパンとともに、アメリカの「日本にパン食を定着させてアメリカの小麦を売りつける」という占領政策に端を発しており、そこに日本の行政と乳業メーカーが乗る形で「牛乳は健康にいい」というイメージを広めた。行政と広告スポンサーに逆らえない、医学界やメディアは口をつぐみ、気がつけばここまで浸透してしまったのだという。

食品業界は「社会毒」でボロ儲け

 さらに内海医師は「砂糖は脳に必要」というのも、砂糖業界の巧妙な宣伝だという。

 確かに、脳はブドウ糖(グルコース、炭水化物が分解を重ねてブドウ糖になる)を必要としているのは間違いないが、直接的に血糖値を上げる直接糖である砂糖を必要としているわけではない。

「砂糖のような直接糖は細胞を崩壊させやすくし、ウイルスや細菌にも感染しやすくなり、アトピーなどのアレルギーにもなりやすくなり、いわゆるメタボの主原因ともなり、ガンにもなりやすくなり、精神的にも人を狂わせます」(同書)

 近頃は砂糖に代わり、果糖(フルクトース)や人工甘味料の使用も増えてきている。果糖は果物の中に含まれる糖分だが、食後血糖値を上昇させない甘味料の成分として知られている。しかし最近、果糖の取りすぎは肥満や脂肪肝の原因になると警告を促す臨床研究が相次いでいる。

「もしも100年前の人々のように野菜や果物からだけフルクトースを得るならば、野菜や果物では繊維やビタミン、ミネラル、酵素、有益な植物栄養素と一緒になっているため、繊維が糖の吸収をゆっくりにしてくれるので、それほどの危険はありません」(同書)

 しかし、現代では「食品や飲料の製造に使われている甘味料の55%はコーンを原料としており、アメリカのカロリー源のナンバーワンは、HFCS(高フルクトース・コーンシロップ)の形態です。日本でも(略)多くの人が体重を落とそうとして頼りにしている低脂肪ダイエット食品には往々にしてフルクトースが大量に入っていますが、そうした加工食品では繊維が除去されているため糖分が吸収されやすく、非常に健康に害があるのです」(同書)

人工甘味料が引き起こす深刻な健康被害

 人工甘味料でいえば、その筆頭は「アスパルテーム」「スクラロース」だろう。アスパルテームは砂糖の200倍の甘味があることから注目されたが、インスリンとレプチンの値を上昇させ、「肥満、糖尿病ほか、今日蔓延している多くの慢性病の要因」となるのだ。さらにアスパルテームにとって代わっているのが、砂糖の600倍の甘味があるスクラロースだ。

「(スクラロースは砂糖のようには)体内で炭水化物として消化・吸収されないのでカロリーはゼロであるうえ、飲料品では味を良くし、保存性を高め、乳製品では乳酸菌に影響を受けず、甘味が保たれるといった具合に、まさに万能の添加物なのです」(同書)

 しかし内海医師はスクラロースを「甘いものにさらに毒を追加した不健康な物質」とし、動物実験では「成長の遅れ、赤血球の減少、甲状腺の働きの衰え、マグネシウムとリンの欠乏、肝臓・脳の肥大、肝臓細胞異常、卵巣収縮、白内障の可能性が高まる」といった結果が指摘されているのだという。

 何より驚くべきは、日本の消費者庁の審査が必要な「特定保健用食品(トクホ)」であるトクホコーラにもアスパルテームが含まれているのだ。トクホの問題は「『人々を不健康にする』機関が、欺瞞丸出しで世界を破壊・支配してきた、その枝葉の話にすぎません」(同書)。

「社会毒」はパン、ファミレスなどのおかわり自由のコーヒー、ミネラルウォーター、オリーブオイル……といった食品にも含まれている。“健康”というイメージのウラで、万能の添加物で莫大な利益を上げる食品業界は次々に「社会毒」をつくり出す。

 現在、日本では、メニューの表示偽装問題が取りざたされている。日本のメディアは「食の安全」を錦の御旗のように掲げて、表示偽装を謝罪する企業には容赦のないヒステリックな取材攻勢をかけるが、より本質的な「社会毒」の問題に迫らなければ、「食の安全」の表面的な問題をなぞっているにすぎないのではないか。
(文=和田実)

【お詫びと訂正】
当記事に、当初「特にアジア人(成年)は牛に含まれる乳糖をカルシウムに分解する分解酵素が体内で分泌されないために、うまく吸収できないケースが多い」といった記述ありましたが、「乳糖をカルシウムに分解する」という事実はなく、不適切な表現でした。また、当該箇所は当記事執筆者が、『医者とおかんの「社会毒」研究』とは異なる資料を参考に記述したものですが、同書から引用したものと誤解を招く表現になっておりました。読者の皆様、関係者の皆様にお詫び申し上げます。

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