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回転寿司業界、なぜ岐路に?相次ぐ都心回帰、IT化、経営統合で競争激化の舞台裏と今後

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「あきんどスシロー HP」より
  一皿100円の低価格寿司が牽引車となって成長してきた回転寿司業界が、曲がり角に来ている。激しい出店競争、水産資源の国際的争奪戦の影響による魚介類調達コスト高騰、客足の伸び悩みなどにより、これまでの成長に陰りが生じてきているのだ。

 そうした中、11月、「かっぱ寿司」を展開する業界2位のカッパ・クリエイトホールディングス(以下、かっぱ)と同5位の元気寿司(以下、元気)が、2014年度中の経営統合を前提にした業務提携契約締結を発表し、話題となった。

 12年度におけるかっぱの売上高は941億円、元気のそれは246億円。単純合算すれば1187億円となり、業界最大手のあきんどスシロー(スシロー)の1113億円を抜いて首位に浮上する見通しだ。

 かっぱは「一皿88円」の超低価格路線を打ち出し、いっとき成長したものの、それが品質低下要因となり「安かろう、悪かろう」のイメージが定着、客離れが続いていた。このため、同社が10月7日に発表した14年2月期の中間連結決算発表では、通期の連結純損益は42億円の赤字(前期は22億円の赤字)見通し。大手の中で唯一苦戦している。このため、メディア報道では「経営統合が実現すれば、本格的な業界再編が始まる」との見方が一般的だ。しかし、業界関係者からは「今回の業務提携は拙速感が拭えない。提携に関する明確な戦略も見えない。だから統合しても業界再編を促すようなインパクトはない」との指摘も聞かれる。

 そこで今回は、再編の可能性も含めた回転寿司業界の今後についてみていきたい。

●かっぱ・元気提携の背景

 まず、今回のかっぱ・元気提携について業界関係者は「業容拡大といった前向きの話ではなく、泥沼のような業績不振から抜け出せない、かっぱの救済が目的」という。

 同関係者によれば、コメ卸最大手で元気の筆頭株主でもあった神明が、かっぱの株式を買い増して筆頭株主になったのは今年10月31日のこと。同社としてはコメの安定的販売先確保が目的だったが、筆頭株主となってかっぱの詳しい経営実態を知ると、愕然とし、かっぱトップ層の経営手腕にも疑問を感じた。

 そこで、当初は業績堅調な元気のメニュー開発ノウハウなどをかっぱに注入、トップ層据え置きでのかっぱ経営建て直しを検討したが、この程度の小手先改革でかっぱの業績回復はとても無理と判断し、一気に両者の経営統合に傾いた。統合に向けて、神明の藤尾益雄社長がかっぱの会長兼社長に就任するトップ人事も断行した。

 10月末に神明がかっぱの筆頭株主になってから、わずかひと月足らずの出来事だった。神明の迅速な経営判断ともいえるが、経営統合に向けての具体的検討はこれからだという。

●御三家、急成長の理由

 回転寿司業界では90年代後半に、現在では一般化した「一皿100円」の低価格業態が登場、過去10年で市場は2倍に急成長した。その中でスシロー、かっぱ、くらコーポレーション(以下、くら)の3社が台頭、現在の「回転寿司御三家」となって業界を主導する構図になった。地域密着色が強いため全国一律型の大手チェーンによる寡占化が難しいと言われる同業界でも、御三家のシェアは59%(11月30日付日本経済新聞朝刊記事から推計)に上り、大きな影響力を持っている。