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ディズニーランド食品偽装はなぜ批判されない?巧妙手法とマスコミタブー、ディズニー信仰

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ディズニーランド食品偽装はなぜ批判されない?巧妙手法とマスコミタブー、ディズニー信仰の画像1「ディズニーファン読者が選んだディズニー
  ベスト・オブ・ベスト 250号記念盤」
  (WALT DISNEY RECORDS)より
 10月22日に阪急阪神ホテルズ(以下、阪急)が食材の誤表記を発表したことに端を発する食品偽装問題。その後も多くのホテルや百貨店で偽装表示の発覚が相次ぎ、大きな社会問題となっている。 

 中でも騒動の発端となった阪急では、社長の謝罪会見では収まらず、ついに社長辞任にまで追い込まれる事態に至っている。

 だが、実はこの食品偽装問題は、阪急が発端ではないことをご存知だろうか。

 この事件から遡ること5カ月前、実はあの東京ディズニーランド(以下、ディズニー)で同様の不祥事が発覚していたのだ。

 まず、5月17日、ディズニー施設内のレストラン「キャプテンフックス・ギャレー」で、値段が安く冷凍食品などに使われていることでも知られる紅ズワイガニを、高級食材の「ズワイガニ」として販売していたことを発表。さらに30日、今度は東京ディズニーリゾートの3つのホテルで、ブラックタイガーを「車エビ」、和牛を「国産牛」、国産鶏を「地鶏」などと偽装表示していたことを発表した。

 偽装表示をしていたホテルは「東京ディズニーシー・ホテルミラコスタ」「ディズニーアンバサダーホテル」「東京ディズニーランドホテル」で、いずれもディズニーの運営会社オリエンタルランドが100パーセント出資しており、事実上はディズニーの直営といってもいい施設だ。

 そして、ディズニーのこの偽造表示発覚を受けて、阪急が社内調査をした結果、偽装表示が判明。大きな騒ぎになったのである。

●「なかったこと」にされた食品偽装

 しかし、ディズニーの事件に対するマスコミや世間からのリアクションは、阪急へのそれとはまったく対照的なものだった。阪急がマスコミから厳しい批判を浴びせられたのに対して、ディズニーについては、一部の新聞やテレビが小さく報道しただけで、大きな問題に発展することはなかったのである。

 阪急は当初、「偽装」を認めずに「誤表示」と弁明したことで世論の反発を買い、非難を浴びたが、実はディズニーの対応も「表記に誤りがありました」というもので、阪急とまったく同じだった。

 しかも、阪急は社長が謝罪会見を開いたが、ディズニーはそれもなし。事後対応でも、阪急が利用者への全額返済を打ち出したのに対し、ディズニーはホテルの“誤表記”には一律1000円の返金でお茶を濁すという誠意の感じられないものだった。ちなみに、前出のディズニー系のホテル内のあるレストランでは、アラカルトのいちばん安いもので1200円、ルームサービスは2000円以上、お茶漬け2000円、おにぎり2個で1900円となっている。

 にもかかわらず、ディズニーは批判も責任追及もほとんど受けなかった。5カ月後に阪急が日本中から袋だたきにあっている時も、ディズニーの食品偽装については、産経新聞が少し触れた程度で、完全に「なかったこと」にされてしまったのである。

●マスコミタブーとディズニー信仰

 いったいこの落差は何なのか?

 この背景には、ディズニーが一種のマスコミタブーとなっているという現実がある。大手出版社の編集者がこう語る。

「とくに民放テレビ局と雑誌はディズニーに頭が上がらない。大スポンサーとして莫大な広告費をもらっているうえ、ディズニー関連のパブ番組、記事は読者のウケがいいですから、関係を悪化させるわけにはいかない。それでなくても、ディズニーはキャラクターの使用にもうるさいですし、パブ記事にも細かい注文をつけてきますから、メディア側は相当気を使っています。ディズニーのスキャンダルはおろか、『ミッキーマウスの中に人間が入っている』なんて当たり前のことすら、イメージを損ねるからと、一切書くことができないんです」

 さらにマスコミ関係者や有名人に対しては、「フリーパス」「マスコミプレビュー」「アニバーサルにご家族全員特別ご招待」など、美味しいエサも撒いている。その威光はすっかり定着し、高圧的態度をとるディズニーに、メディアはひたすらご機嫌を伺い、ひれ伏す構図が出来上がっているのだ。

 だが、ディズニーのタブー化にはもうひとつの要因もある。それは日本人に広がっている“ディズニー信仰”だ。

 1983年のオープンから30年、来場者はすでに5億人を突破し、ディズニーは単なるテーマパーク以上の存在になった。ユーザーの多くがその夢の世界に魅かれ、まるで信者のようにディズニーのやることすべてを肯定する空気が広がっているのだ。そして、不祥事やスキャンダルを報道しても「そんなものは聞きたくない」と無視され、むしろ「夢を壊すようなことをするな」という反発が返ってくる。

 実際、8月に当サイトで、ディズニーランドが幻想を利用して大量のアルバイトに、一部無手当で管理職務を行わせているブラックな実態は報じられた際も、

「ディズニーをブラック扱いするのはおかしい」
「(ディズニー批判は)ひねくれている」
「みんな純粋にディズニーが好きで仕事をしているだけ」
「お金だけが仕事の目的じゃないはず」

など、多くの「ディズニー擁護」の意見が見られた(『ディズニーランド、美談に隠されたブラックな実態〜バイトを魔法にかけ無報酬で酷使?』)。

 食品偽装問題を覆い尽くすほど、日本にあふれる“ディズニー愛”。恐るべしディズニー、である。
(文=エンジョウトオル)

BusinessJournal編集部

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