本番組は、ローソン代表取締役CEO・新浪剛史や映画監督・井筒和幸、評論家・宇野常寛などの論客と一般の人々が、広い世代・ジャンルから集まり、経済や社会の問題などについて討論し、「大人の心配と若者の本音」をぶつけ合うという企画。その中で高橋は「若者世代」「アイドル」代表として出演した。
まず、「今の若い世代には夢がない?」というテーマで議論する中で高橋は、「どれだけいい大人とかかわれたかが、先の人生がすごく変わるスタートボタンだと思う」と切り出した。そして、まだ無名だったAKB48に一期生として加入した当初のエピソードとして、グループとしての将来が見えずにメンバー全員が不安だったが、AKB48総合プロデューサーの秋元康氏が、「『NHK紅白歌合戦』に出よう」「武道館に出よう」などと大きな夢を掲げてくれたことでがんばることができたと語った。その経験から、「そこ(=目標)にいくまでにかけてくれた大人たちの言葉によって鼓舞されて、『なるほど』って思えるんで。『駄目だ』って言う大人に出会っちゃうと折れちゃうし、『いけるよ』って言われた人は伸びると思う」と、よい大人との出会いの大切さを力説した。
また、雇用問題がテーマになり、企業を経営する一般出演者が「若い人たちはきつい仕事をさせると折れやすい」と発言すると、握手会などで若い世代と触れ合う機会が多いという高橋も「(仕事を)続けるのが難しいと思える子が結構多くて」と同調。握手会で高橋は若い参加者たちから「新しい仕事を始めたがつらい」「もう辞めようと思っている」などと相談を受け、「いや、だめじゃない?」と励ますことが多いという。この経験から高橋は、「仕事って、そんな簡単なものじゃないし、続けないと結果は出ない。誰かに背中を押されないと前に進めない子たちが多いかな」と若い世代への厳しい見方を示した。
そして、「選挙の投票で社会は変わるのか?」というテーマでは、「変わるとは思っていないけど(投票に)行っている」と語る高橋が、「大人も変わらなきゃいけないところはある」と主張。タレントで作家の遥洋子から「具体的にどう変わるべきか?」と聞かれた高橋は、総監督として姉妹グループを含めると総勢300人以上のメンバーがいるといわれるAKB48を束ねる経験から、次のように持論を展開した。
「グループでやっていると、若い子もいっぱい入ってくるんですよ。私は22歳ですけど、14歳くらいの子が入ってきた時に、いろんなことを教えなきゃと思って、『(AKB48には)こんな歴史があって、こういう軍団で、こういうことをやっていかなきゃ』って。でも、若い子たちって、『えっ?』っていう感じなんですよ。なぜなら、(彼女たちは)若い子たちのルールで、若い子たちとして生きてきているから。『私たちが若い子たちに合わせて、一緒につくっていかなきゃいけないんだ』ということに気づいたんですね」
このほかにも番組内では、「若い世代と上の世代はどう付き合うべきか?」というテーマで議論する中で、「若者は若者で一旦固まったほうがいい」と主張する宇野に対し、高橋が「全員でやったほうが、大きな力になるんじゃないかな」と反論。その理由について高橋は、「私はまだ22歳で、みなさんのほうが絶対、人生を生きてて、いろんなことを経験しているわけだから、いろんなことを吸収するためには、やっぱり(大人たちと)コミュニケーションをとったほうが、絶対、私たちのためになると思う」と説明した。
こうした一連の高橋の発言を聞きながら、企業経営者である新浪をはじめ、スタジオの“大人世代”は一様に大きくうなずきながら納得する様子を見せていたが、日頃から大所帯の人気グループを束ねる中で高橋が培ってきた「大人の思考」が垣間見えた格好となった。
(文=編集部)