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最下位スバルのビジネスモデル、なぜ世界で注目?オンリーワン戦略&堅実経営で高収益

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「富士重工業 HP」より
 富士重工業(以下、富士重)は1月9日、同社製乗用車の統一ブランド名「スバル」の国内生産が2000万台を突破したと発表。同日、群馬製作所矢島工場(群馬県太田市)で盛大な記念式典を開催した。「わが国初の国民車」と謳われた軽自動車「スバル360」の生産開始(1958年)から56年目の達成。2000万台目はスポーツ用多目的車「フォレスター」だった。
 
 吉永泰之社長は式典で「『スバル』を愛してくれた顧客をはじめ、諸先輩・従業員一人ひとりがコツコツと積み重ねてきた地道な努力の賜物」と、感慨深げな面持ちで挨拶した。「56年かかってやっと2000万台の地味な偉業」(業界関係者)と揶揄する声も聞こえるが、富士重社員たちの目に「2000万台達成」のゴールが見えたのは、13年3月期連結決算発表の時だった。13年3月時点で「スバル」の国内累計生産台数が1942万台を記録していたが、当時の国内生産能力は年間60万2000台/年。「社内のどの部署も『もう一息』の押せ押せムード。『今期中にテープカットしよう』と士気は盛り上がりっぱなしだった」と同社関係者は振り返る。

 13年3月期連結決算の内容も絶好調で、士気盛り上げに一役買った。同社が昨年5月に発表したその内容は、「スバル」の世界販売台数が72万4000台(前年同期比13.2%増)で過去最高を記録。これが原動力となり連結全体の売上高は1兆9130億円(同26.1%増)、営業利益は1204億円(同1.7倍増)、最終利益は1196億円(同2.1倍増)となり、スバル販売台数、連結売上高、連結営業・最終利益のいずれも過去最高を記録した。

 「スバル」の売上高比率は93.0%。同社は「重工業」を名乗っているものの、実質的には乗用車メーカーと言ってよい。ちなみに、上記連結決算での「スバル自動車部門」の売上高は1兆7790億円(前年同期比28.1%増)、営業利益は1110億円(同1.8倍増)だった。同社はこの好業績を背景に、14年3月期の通期予想を売上高2兆500億円(前年同期比7.2%増)、営業利益1800億円(同49.5%増)と示し(昨年10月にいずれも上方修正)、2期連続の過去最高益を見込んでいた。今回の「スバル」2000万台達成により、この見込みも達成確実にしたと見られている。

 吉永社長は13年3月期連結決算発表の席上、好業績要因として、(1)スバルらしい車の投入、(2)北米市場中心の販売台数拡大、(3)工場の高操業、(4)原価低減の成功、(5)年度後半からの円高是正効果の5点を挙げていた。円高是正効果に関しても「もともと商品が好評であったところに円高が是正され、利益が押し上げられた格好となった。大本が間違っていなかったからこその結果と考えている」と話し、円高是正の恩恵も、国内生産主導(国内生産率78.67%、13年1-11月累計)の経営努力があったからこそ享受できたとの見解を示していた。

 一方、証券アナリストの一人は、好業績要因に関して「13年3月期連結では有利子負債を1年間で338億円圧縮し、その上で手元資金を822億円増やした。稼いだ利益を負債の削減に充てたことで2000年以降初めて実質無借金になり、これが国内生産主導の『攻めの経営』を可能にした」と分析している。

 13年3月期連結の売上高は三菱自動車、ダイハツ工業を抑えて8位から6位に浮上。最終利益もトヨタ、ホンダ、日産に次ぐ4位で、かなりの高収益。最終利益4位のポジションは14年3月期予想でも変わらない。

●熱狂的スバルファン獲得で北米市場を快走

 同社の「地味な偉業」が報道されて以降、世界で唯一の独自技術である水平対向エンジンと四輪駆動機構の組み合わせ技術で「オンリーワン車」を開発、国内生産主導でも円高を吸収して高収益を確保する「スバルのビジネスモデル」が市場でにわかに注目されている。