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携帯電話の高額キャッシュバック、なぜ各社一斉に収束?「純増数」重視から転換の兆し

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ソフトバンクモバイルが春商戦で実施していたキャッシュバック施策。最近は販売店だけでなく、キャリア自身もキャッシュバック施策を打つようになっていた。
 ここ最近、大きな問題として取り上げられるようになった、携帯電話のMNP (携帯電話のキャリアをまたぐ番号継続サービス)利用者に対する高額なキャッシュバック。このキャッシュバックを、3月下旬より携帯電話キャリア各社がそろって急速に縮小する動きを見せている。この動きは今後も継続するのだろうか?

●なぜキャッシュバック競争が加速したのか?

 キャリア各社はここ数年、新規契約者獲得策の1つとして、新規契約者にキャッシュバックを行うという施策を打ち出してきた。特にMNPで移行してくるユーザーに対しては、ライバル他社の契約数を減らし自社の契約数を増やせるため、キャッシュバックの額を増額するなど優遇する施策をとっていた。

 では、なぜこのキャッシュバックの問題が大きく取り沙汰されるようになったのだろうか。その背景を改めて振り返ってみよう。

 キャッシュバックという施策が生まれた背景には、実は「2年縛り」が大きく影響している。2006~07年頃から、契約年数に応じて基本料を割り引くサービスに代わり、2年(もしくはそれ以上)の長期契約を約束することで、例えば基本料を半額に値下げする「2年縛り」が前提の割引サービスが急増し、広く普及することとなった。例としてはau(KDDI)の「誰でも割」などが挙げられる。

 だが、これらの割引サービスを途中で解除するには、1万円前後の高額な解除料金がかかってしまう。そのため、販売店がMNPでの移行を促進するため、解除料に相当する1万円程度の料金をユーザーにキャッシュバックする施策を打つようになったのだ。この施策がユーザー獲得という成果に大きく結び付いたことから、キャッシュバックを提供する店舗が増えていったといえる。

 もう1つ、キャッシュバックに大きな影響を与えていたのが、電気通信事業者協会(TCA)が毎月発表している携帯電話・PHSの契約数や、キャリア各社が公表しているMNPの純増数である。これら毎月の契約数の増減が、キャリアの好不調をはかるバロメーターとして近年高い注目を集めるようになったことから、キャリア各社が“数”を重視してキャッシュバック施策を強化。良い数字をつくることで、自社の評価を高めようという動きが加速していったのである。

 そしてキャッシュバック競争が一段と激化する要因となったのは、昨年NTTドコモがiPhoneを取り扱うようになったことだ。従来はiPhoneの有無がキャリアの差別化要因となっていたが、主要3キャリア全社がiPhoneを扱うようになったことで、目立つキャリア間の差がなくなってしまったのである。そのことが、キャッシュバック強化によるユーザー獲得を加速させたといえよう。

●キャッシュバック競争の過熱で表面化した問題とは

 こうした背景から、MNP利用者に支払われるキャッシュバック額は年々増加の一途をたどっていった。そして今年の春商戦に至っては、MNPするだけで1人当たり7~8万円、さらに複数台だと50万円を超える額のキャッシュバックが得られるなど、異常ともいうべきキャッシュバック競争が繰り広げられることとなったのである。あまりの過熱ぶりに、キャッシュバックを稼ぐために多数の携帯電話契約を確保してMNPでキャリア間を渡り歩く人々が現れ、一部報道では「現代の錬金術」といわれたほどだ。