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ブラック企業アナリスト・新田龍「あの企業の裏側」第23回

裁判官による性犯罪、なぜ多発?被害者を恫喝、和解を強要…絶望の裁判所の実態

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「Thinkstock」より
 良心に従い、公正な立場で判断をすることが求められる裁判官の不祥事が後を絶たない。今月1日にも、法務省の幹部で元裁判官の近藤裕之前財産訟務管理官が、法務省内の女子トイレで盗撮したとして送検され、罰金刑を受けた事件が記憶に新しいが、ほかにも近年は裁判官による児童買春やストーカー、盗撮、痴漢など、性犯罪事件が頻発している。

 また、裁判の本業でも多数の問題が露呈している。

 筆者はこれまで、判決を書きたがらず、なんでも和解にするよう強要、脅迫する裁判官の問題や、裁判官の大手弁護士事務所への天下りと癒着問題などを取り上げ、報道してきた。

 昨年は、東京地方裁判所民事部の裁判長が、性犯罪被害者女性にまで和解を強要し、女性に「和解しなければ、被害者女性を本人尋問で何度も法廷に呼び出すぞ。長時間の尋問になるだろう」と非公開法廷で恫喝していた問題が発覚し、この事実を法務省や東京地裁所長にも取材して報じた(当サイト記事『強制わいせつ事件で、東京地裁裁判官が被害者女性を“脅迫”疑惑?』)。

 もちろん一部の裁判官であろうが、これらは裁判官による脅迫や、重大な人権侵害というべき行為ではないかと、世論から非難の声が高まり、裁判所の中はどうなっているのだろうかと疑問の声が多くなっている。

 そんな中、衝撃ともいえる裁判所の内部事情を告発する『絶望の裁判所』(講談社現代新書)が2月に出版され、法曹界はもちろん、海外も含むジャーナリズムの世界でも大変な話題となっている。本書は単なる内部告発ではなく、冤罪等の司法の病理を構造的に説き明かした書籍として注目されており、発売2カ月半で6万5000部を売り上げるベストセラーとなっている。

 著者は、裁判官として33年にわたり勤務し、最高裁判所にも2度勤務したほどの元エリート裁判官で、現在は明治大学法科大学院の教授である瀬木比呂志氏だ。本書には、裁判所の中枢に勤務した人間でなければ知り得ない裁判所や裁判官の実態と、その構造的な問題が正確に描かれている。

●明らかにされた、裁判官の実態

 本書の中で瀬木氏は、裁判官の実態を「精神的な収容所の囚人」と表現する。

 日本の裁判官は任期が10年で、更新されなければクビになり、路頭に迷う弱い立場の職業。そのため、裁判官の人事権を握る最高裁事務総局の顔色をうかがいながら働くようになる。その結果、最高裁の意向を気にして、判決の内容にとどまらず、公私にわたる個人としての意見まで最高裁の望む方向に画一化されるようになっている。

 最高裁事務総局が評価するのは、最高裁の意向に沿って、なるべく多くの「事件処理」を行うことである。それに合わせて、多くの裁判官は、自らの良心ではなく最高裁の意向に従った裁判を行う。刑事では、有罪を前提に裁判を行い、冤罪が生まれやすくなっている。民事では、裁判を早く手間をかけずに終わらせるために「和解の強要、押し付け」が横行している。裁判官によっては恫喝的ともいえるような言葉まで用いて和解を強要するため、前述のように、被害者女性に裁判官が脅迫するような事件までが起きるのだろう。